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​当事者たちは気付かない。




「なあ…、エル?」

「シン、どうしたの?」

「さっきのオヤジのコーヒー間違ったヤツさ…。
エルの口付ける前の蓋とオヤジのコーヒーの蓋とただ交換すりゃ良かっただけじゃね?」

「……………、あ“っ!!!

シンっ!!!な…なんで…っ…!!
なんで…っ!!もっと早くっ、その事言ってっくれなかったのっ…!!?」

私はついシンの肩を掴みながら、ぷるぷると震えて泣きついてしまう。

「うおっ!?それって涙浮かべる程の事かよっ!?…ってか、いや、コレ普通に交換出来るじゃん、
なんで二人とも気付かねぇんだ?って。でもオヤジもエルも全く気にする素振り無かったし、

…オレはてっきり、二人共…わざとなのかな…って。」

「そんな訳無いっ!!!」
「そんな訳あるかっ!!!!」

シンに言われた言葉に過剰反応してその場で叫んでしまった声に、遠くから聞いてきたらしいソルさんまで

同時にシンの言葉にツッコミを入れて、私の声と重なってしまい、余計に恥ずかしくなってしまった。

「うおっ!?、な、なんだっ!?オ、オヤジっまで大声出してどうしたんだよっ!?」

「…おい、シン!…っ、…そ、それ以上は…、その事について、かっ…語るんじゃねぇっ!!」

「…急にどうしたんだよ?余計に怪しさ満点じゃんか!!」

「シン…それ以上はソルにもエルにも何も聞いてはいけない事なんだと思う…。」

「ラム?…どうしてだよ?」

「先程ソルにエルの事を聞いたら、ソルは、エルの事を、ジャック・オーと同じく「違う」と認識してると言っていた。
…きっと私達には言えない何かが、二人にはあるのだと思う…。」

「…ラムレザルっ、テメェっ!な、何を言い出しっやがっ…!?」

「ふーん??、ま、良くわかんねぇし何でもいいけどさ…
要は、オヤジとエルに『何か』あるって事、ジャック・オーや母さんには黙っとけばいいって事なんだろ?

…オヤジ、感謝しろよな!」


シンからのその発言に、私も、ソルさんも、黙ってる他無かった…。




 

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