DORAGON
DOES
HISUTMOST
TO HUNT
RABBITS
D
oragon
rabbits
&
R
同じ想いを抱えた男と女は、
同じ想い故にすれ違う。
R-18
事実の病気の真実を知った日…。
あの日から何日か後は、私の精神はなかなか安定しなくて、発作を繰り返したりしていたけど、最近はだいぶ落ち着いてきていた。
自身の想い…前は自分でも違うと頑なに否定していたけど、病気の原因と解決策を聞いてしまった私は、
もう自分では誤魔化しきれなくなっていて…。
私の想い…知ってるのに、どうして私に優しくするの?
意識が朦朧として倒れそうになったら、助けてくれるのは必ず貴方だった。
さっきも廊下を歩いていて意識を失いそうになった所を抱き上げられ、何も言わずに部屋まで運んでくれて、そっとベッドに下ろされる。
前みたく何かされるんじゃないかって身構えていたら、
「普通にしてろ。……そうだ。それでいい」
おとなしく寝とけと一言語った後、貴方は私の部屋から立ち去ろうとする所を、思わず腕を掴んで引き止めてしまった。
「…どうした?」
びっくりするくらいの優しい声色、私は思わずごめんなさい!と手を離した。その離した手をそっと掴まれる。
「え、…あっ、あのっ!!」
私が戸惑ってる最中、貴方は私に近付いて来て、私の手を掴みそっと引っ張り上げる。
急にベッドから立ち上がってバランス崩しそうになる私を受け止め、
そのまま、流れるように私を抱き締めた。
そっと前髪をかき上げられ、晒されたおでこに柔らかなぬくもりが触れて、それは、まさしくソルさんからの口付けで…。
声無き声で固まる私の頭に撫でるように触れて、そっと離される。
「…もう頃合いだな…エルフェルト、“来週の初め”だ。覚悟しておけ。」
そう一言だけ告げて、ソルさんは私の部屋から出て行った。
「……………え…?」
私は…暫く状況が掴めなくて、腰を抜かして、その場に座り込んでしまっていた…。
◇◇◇◇◇
急遽エルフェルトとの会合を決めたとカイに告げれば、散々愚痴を言われ余計な事まで言われたが、特に意にも返さず、
最近の自身の仕事の予定を全部終わらせ、約束の日を含めた10日程予定を開ける。
カイ曰わく「どうして逸れを他の大事な予定でやれないんだお前は」と渋い顔で言われたが、
「テメェの価値観、他人に当て嵌めるなんぞまだまだだぜ」と軽くあしらっておく。
「エルフェルトさんには伝えてあるのか?」
「またブッ倒れやがったからな、部屋に運んだついでに連絡は済ませておいた」
「それは大丈夫なのか!?」
「寧ろこのままじゃ拉致があかねぇ。さっさと楽にさせた方がアイツの為とは思うがな」
「わかった…、何かあったら連絡を頼む」
「エルフェルトは俺の部屋に連れて行く。それで良いな?」
「ああ、それは私からも頼む。お前の部屋は防音仕様だし、エルフェルトさんもその方が安心だろう。
それに…なるべく周りには悟られない方が彼女の為でもあるし…シンの為でもある」
「シンの奴には…そのうち教え込まなきゃならねぇ時が来やがる。いつまでも隠し通せるほどアイツは鈍くねぇ。隠して何になる。」
「すまない。いや、判っているんだ…、だが…
シンにとって…身近であるお前とエルフェルトさんが“そうなっている”という事実を知るのは、その…」
「身内や知人のセックスなんぞ、そりゃ確かに知りたくもねぇな」
「ソルっ!!」
「ったく。テメェは気にし過ぎだ」
「…気にもなるさ、他ならぬ"大事な友の事"だ。
…なあ、ソル。一つだけ聞きたい。
エルフェルトさんはお前を想うからこそ、自身の想いを押し殺そうとしていた。
お前も、今回のような事が無ければ、本当はエルフェルトさんに自身の想いを告げる事…
いや、男女の関係にすら成るつもりなど、全く無かったんじゃないか…?」
「………………。」
「ファウスト先生からの、エルフェルトさんの病の緩和の方法に、誰よりも憤っていたのは、他ならぬお前だ。
……お前は…ずっと…独り、その想いに苦しんでいたのではないか…?」
「…憶測でモノを語るとはな。テメェはそれでも一国を担う王か。
いいか…勘違いすんな。こんな事は今回限りだ。老け顔の第二連王にも言った気がするが、
エルフェルト、アイツは"俺みたいな大昔の化石が食い物にして良いもんじゃねぇ"。…只それだけだぜ」
「………そうか、"わかった"。お前がそれを呑み込むのなら、私もそれに従うよ」
「…勝手に言ってろ」
そう言い放ち、俺は肩を竦めて奴の事務室から出て行った。
◇◇◇◇◇
エルフェルトの部屋の扉をいつものように躊躇無く開け放つ。
最近は専らゆったりとした寝巻き姿だったが、さすがに会う約束をしたからか、
エルフェルト自身はきちんと身支度をし、いつもの私服よりか背伸びした服を着て仄かに化粧も施していた。
だが、慌てて準備したであろう形跡が部屋中に散かり
「ノックしないで乙女の部屋を開け放つのは何でですかぁああああ!?デリカシーッ!!デリカシーっ!!!」と
顔を真っ赤にして涙目で叫ばれる。
「あああ、もう…なんでっ…」とぶつぶつ言いながら、散乱した衣服
片付けようとしてそれらに脚を取られ転びそうになったエルフェルトを掴み、引き寄せる。
「そんなもん、メイドに任せておけ。…さっさと行くぞ」
エルフェルトを抱えて持ち上げる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!これからどこに行くかなんて、私全く知らされて無いですよ!?」
頬を染め戸惑いながら俺の顔に近づいてきた目の前の女の唇に軽く口付けを施せば、
瞬時に顔を離され、驚きの表情で此方をガン見してきやがった。
「なっ、なななななななっ!?」
「何でだと?…そんなもん、お前のその欲求不満を解消する為に今からテメェを俺の部屋に連れて行くんだろうが」
「…え、えっ!?、ま、待っ、そ、それって…」
「いい加減腹括りやがれ。まあ、…悪いようにはしねぇ」
そう伝えれば、ひたすら顔を真っ赤にさせ、俺の顔を凝視しながらエルフェルトはおとなしく固まりやがった。
俺はそのまま、エルフェルトを抱え自室まで歩いていく…。
◇◇◇◇◇
「こ、此処がソルさんの…」
興味深々とばかりに俺に抱えられたまま、俺の自室をキョロキョロしだしている。
「降りるか?」
そう聞けば、お願いします!と久しくコイツのはしゃぐ姿を目の当たりにする。
そっと大きいソファーがあるリビングにエルフェルトを降ろせば、ゆっくりと何度も行き来し、部屋の隅々まで見渡している姿。
やっぱり私のお部屋より広いんですね!と何やら笑顔を浮かべている。
「アメニティブースも見ていいですか?」
「好きにしろ」
何がそんなに楽しいんだと呆れれば、「そ、それは、ですね…ひ、秘密です…!」となどと言い放った後、
アメニティブースに引っ込みやがったから、つい思わずその跡を追っちまう。
中に入れば、良いなぁ…広い…!などと独り言を呟いて、見回しているエルフェルトが視界に入る
鏡越しに視線が合い、心底驚いた顔をしやがったところを後ろから追い詰めるように抱き締める。
「そっ、ソルさんっ!?」
「…俺を置き去りにするとは良い度胸じゃねぇか…」
「そ、そんなつもりは…っ」
目の前でいい匂いをさせている女の耳元の白銀の髪を優しくかき上げ、わざとらしく口を近付け、囁くように問い掛けた。
「そ、ソルさんっ!?、ダメ…!…それダメ…で…す…」
何かを感じブルッと身体を震わせ、耳や頬を真っ赤に染め上がった目の前の獲物の顔をそっと掴み、視線を此方に向ける。
長い睫毛、大きな眼、潤む瞳、柔い頬、白い肌がひたすら朱に染まる。
「ダメ…です…から、その…」
微かに言葉を紡がれた唇はふるると震え、全ての奴の情緒が俺に貪れと訴えてやがる。
「ハッキリしねぇと伝わらねぇよ…。だが、今ハッキリしてんのは、俺がお前を今すぐ欲しいっつう事だ」
そう言い放ち目の前の唇に口付け、かつて無い程に、深く、深く…貪っていく。
されるがまま、俺の動きに翻弄され、無抵抗のままだからか、此方が良いように口内を貪りつくす。
小さい唇を必死に開け、舌を突き出し、拙いながらも舌を絡めてきやがる態度に、不意に愛おしいもんを感じ、
頬を撫で、耳を触り、むき出しの首筋のうなじを撫でさする。
口内の性感帯を刺激する度に、ビクッ、ビクッと身体を揺らし、口内で嬌声を上げ感じてやがるコイツに、
俺の唾液をエルフェルトの喉元に態と送り込んでやる。
コクっ、コクっと、細い喉を動かし飲み込む姿に、ゾクゾクとしたモンが身体に駆け抜けた。
唇を離せば、互いのまぐわった細い糸が何本も絡みつき、エルフェルトの口端からは、俺が送り込んだ唾液が溢れて零れ落ちる。
トロンと堕ちた瞳を此方に向け、ハァハァと肩を動かし放心状態のエルフェルトの零れ落ちた唾液を吸うようにまた口付けを施し、
今度は頬、瞼、耳元、うなじと口と舌を這わしながら、その大きな乳房を服の上から揉みしだいていく。
「ひゃ、あ、んっ、…や、やだぁ!!…な、なんか変ですっ…!!」
衣服の上から、優しくその弾力性があり柔い胸の先端部でツンと主張している乳首をギュッと摘まめば、
あっ、あ、あっ!?と声をひたすら荒げ快感に眉を歪めて目に涙を溜める姿。
何かしら予感を感じ、そのまま、乳首の刺激でよがりまくるエルフェルトをしつこく攻め続け、
まるで胸だけでオーガズムを感じ、ひたすら善い顔を浮かべ、好い声を荒げ快感に溺れる女を脳裏に焼き付ける。
「ソルさんっ、ダメ!!ダメなのっ!?、な、なんか、胸から、溢れ、溢れて…っ、ぁ、あ゛っ、あ゛っあ゛ーっ!?」
達したのか、ぶるると身体を震わせた後、くったりと壁際に倒れかかる所を掴み、その表情を拝みたいと此方に向かせた。
快感でグズグズに崩れた表情と、力の抜けた手足、そして、何故か、エルフェルトの胸の先端部だけ、何らかの液体でしっとりと濡れていた。
もう一度服の上から触れば、濡れている部分からは甘い匂いがした。訝しげに思い、
もう一度触れれば、ビクっ!?と身体が反応し、何かしらの液体が衣服に染みを作っている…。
…胸から溢れて、だと!?
予感を感じ、エルフェルトの着ているブラウスをまくり上げ、前ホックのブラジャーを片手で外す…。
そこには、二つのたわわとした乳房と、胸の大きさにあいまった少しぷっくりとしている乳輪…
その先端部に天に向かってツンとして立って主張している乳首からは、
乳白色の液体がポタポタと零れ落ちる様を視界に収めて、思わず凝視してしまう…。
恐る恐る、その乳首を思わず触れ、指についた零れた雫を自身の唇で舐め取る…。ほのかな甘さを感じた。
マジかよ…と呟き動揺を隠しきれないまま、そのふくよかな胸を掴み、立ち上がっている乳首を口に含み吸えば、
甘い液体が溢れて口内に広がっていく。
「……こりゃ、まさしくクレイジーってヤツだぜ…」
俺は放心状態で思わずそう呟いていた…。
◇◇◇◇◇
気絶しているエルフェルトをベッドに寝かせ、俺は慌てて法力通信を手に取り、起動させる。
『これはこれは!お久しぶりです!』
「おい、ファウスト!今エルフェルトの身体は一体どうなってやがんのか説明しろ」
『何かエルフェルトさんの体調変異でしょうか?このままではどんな状態なのか解りかねますので、…少し状況説明をお願いします。』
状況説明をした後、例の闇医者は、『なるほど……やはり、発情のステージはそこまで進んじゃったみたいですね…』意味深に語り出した。
「ああ゛!?」
『例の兎の遺伝子が悪さしちゃってるだけです。雌の兎の発情期にはよくある現象ですので、別に命に関わる事ではありませんよ』
「悪さだと?」
『疑似妊娠ってヤツです。女性ホルモンの変化で、体質か変わったり、先程仰ったように母乳が出ちゃったりする感じですかね?
疑似妊娠と言っても、本当に妊娠して生命が生まれてくるわけじゃありませんので、まあ、収まるまで様子見って事で…』
「おい、…今、事を及んでも構わねえのかよ…。」
『はい?何をです???』
「テメェ!!判っててすっとぼけようとは良い度胸じゃねえか!?」
『あっ、はいはい!そーですねぇ…あー、むしろ今だけの期間限定ですので、うんと楽しんじゃえば良いんじゃないでしょうか!!!』
「………………。……………テメェはもう用済みだ。さっさと消えろ」
『はいー!それではー!!またお会いしましょうー!!!』
◇◇◇◇◇
暫くベッドに横たえさせていたエルフェルトの近くに座る。
先程の胸の刺激にて汚れた衣服を剥ぎ取り、部屋に備えつけてあるバスローブを一旦羽織らせた。
その際、どっちにしろ全て脱がすだろうと、全身の衣服を剥ぎ取ってさらけ出たモノが、予想より遥かに上等な賜物で、
思わず生唾を飲み込んでしまう。
………なんだコイツ…!?脱いだら凄いじゃねぇか…。
皮下脂肪がついてる肉体は程よく全体的に柔らかいのだが、ウエストはキュッとくびれて引き締まっている。
衣服を着けてる時からデカいなおい。と内心思っていた乳房は、寝かせても尚垂れる事なくハリを保ち、ぷっくりした乳輪と、
先程の快感でピンと張り詰めた乳首はツンと天を仰いでいる。
ハリを保ちつつも、少し身体を揺らせば、そいつはまるで女子が好む柔らかいプディングのようにふるふると震えた。
肌も身体の隅々まで手入れが行き届いており、どこを触れても、しっとりと指に吸い付き、滑らかな肌が心地良く無意識で触り続けてしまう。
ありとあらゆる場所に体毛というモノが感じられねぇ。
コイツの事だ、自身で処理してんだろ。と思いつつも、“アソコ”の毛まで何も無くツルツルで、
剃り跡すら見つからないと理解した時には、…生まれつき体毛が無いのか!?と…内心、動揺を隠しきれない。
「クソッ…!…落ち着け…落ち着けってんだ…。」
視界の情報のみで物凄い興奮し、己の陰茎はバキバキにそそり立ち、自身の鍛えられた腹筋に今にもその先端が付きそうになっている。
先程、己自身も身に纏っていた衣服を脱ぎ去り、バスタオルを腰に巻いた一枚だけの姿だが、
より自身の高ぶりの主張が激しく布越しにまで判ってしまう。
早く目覚めろとばかりに、頬を軽く叩くも、眉を動かすのみで、目の前の獲物は目を覚まそうともしない。
「このまま起きねぇと、寝入ったままおっ始めるぞ…!!」
そう目の前の女に語りかけるも、返事など何も返ってきやしねぇ…。
「くそっ…仕方ねぇな。とりあえず、ひとっ風呂浴びるか…」
そう呟き、ついでだとばかりに、寝入ったままのエルフェルトの身体を持ち上げ、
先程、コイツがはしゃいでいたアメニティルームに脚を運んだ。
◇◇◇◇◇
ん…あったかい…
ふわふわとした心地よさと暖かさ…
お湯を張られたバスタブの中…ふと目を覚ました私は、暫く今の自身の状況判断が出来なくて、
私を抱き締めていたソルさんを意識して身体が竦んでしまう。
本当に驚き過ぎて声が出なくなって固まる私に「寝坊助。やっとの目覚めかよ」と発したソルさんの声色は柔らかい。
「ぇ…、え゛ッ!?」
混乱して濁音の悲鳴を上げる私の体を後ろからギュッと抱き締め、「いいから落ち着け」と耳許で囁かれる。
「…い、いやいやいやいや!!!?こんな状況っ!?何をどうやったら落ち着けるっていうんですかっ!?」
混乱状態で湯船の中でバシャバシャとお湯を荒立てて暴れる私の頬を両手で包み込み「いいから俺を見ろ」の一言に、
金縛りにあったかのように素直にソルさんを見つめてしまう。
大人しくなった私の唇をソルさんの舌が容赦なく舐める…
吃驚して何かしらの言葉を発しようと口を開いた所に、ソルさんの舌が私の口内を浸食し始める。
ぬるぬると舌を絡められ、何度もなぶられて吸われて頭がボーッとしてくる。
口付けしながら私のおっぱいを揉みしだき、しこりのように凝り固まった乳首の天辺を指の腹でクリクリされた。
それがあまりにも気持ち良すぎて口を塞がれているのに変な声が出てしまう。
「ん゛…ん!!…ッ、ん゛!……っ!!!」
お湯に浸かった私の乳首をギュッギュッと後ろからソルさんの両手の親指と人差し指とでこねくり回されて、
思わず腰が浮き、両膝をもじもじさせてしまう。
その際、湯船に溜めていた透明なお湯が、何かしらの乳白色のものに染まっていくのを、朦朧とした意識で認識していた。
唇を解放された後、不意に私の身体を湯船から持ち上げて、太股の上に座らされる。
「…あ、あの…?」
不意の行動にソルさんのお顔を拝見すると、「エルフェルト、テメェの胸を見てみろ」と言われ、疑問に思いながら自身の胸を見てみる…。
そのタイミングを見計らって、私の張り詰めた両胸の乳首を、乳輪ごとギュッと絞られて、
細い糸のような液体が私のおっぱいの先端からビュッと飛び出して、湯船に張られたお湯に溶け込んでいく…
ポタポタと垂れた乳白色の液体をソルさんの指先が掬い取り、そのまま私の唇に触れ、こじ開けられた。
ソルさんの中指と人差し指が私の舌に触れる。先程の液体の甘さが私の口内に広がっていく…。
…え!?
混乱して固まる私に、「コイツが何なのか判るか?」とソルさんからの質問が私の脳内に降り注ぐ。
嘘…嘘よ…。
そんなの…答えは一つしかなくて、そうとしか考えられなくて、でも…そんなの…そんなの…ッ!?
「ど、どうして…」
私からの質問に、原因は、私自身の遺伝子による誤作動からの疑似妊娠だと説明されて、頭が真っ白になる。
色んな感情が綯い交ぜになって、もう嫌だと、私は思わず自身の顔を両手で塞いで俯く事しか出来ない。
「わっ、私の事…見ないで…下さい!!」
疑似妊娠…そんなのっ!?私がソルさん、貴方を勝手に想って勘違いしてなってしまったようなモノで、
自分の傲慢さに、自己嫌悪と恥ずかしさで今すぐこの場から消えてしまいたくなる。
「そいつをさっさと終息させる為に今こうしてるんだろうが」と語る貴方の言葉に、私はより辛くなってしまう。
「…こんな事に…付き合わせてしまってごめんなさい。…私は大丈夫ですから」
涙を拭い、淡々とした口調で私は言葉を紡ぎ出す。泣いてはいけない、動揺してもいけない。
内心そう自分に言い聞かせながら語った私の言葉は少し震えていた。最後までハッキリ言い切った後、立ち上がり、
その場を離れようとパウダールームに置いてあるバスタオルに身を包む。
バスタブから離れようと歩き出そうとしたら、腕を掴まれた。
ソルさんは少し怒りを携えた表情で、
「テメェが幾度もぶっ倒れる事で、他の者共が上手く回らねえと何故気付かない?」
そんな言葉を投げかけられる。
「そ、それは…」
「エルフェルト、お前が前に俺に啖呵斬りやがった言葉に偽りが無いなら、テメェの世界は“奴等”なんだろうが!
“奴等”は、テメェが苦しんでる姿を見て悦ぶ連中か?」
「そんな事!?ある訳無いじゃないですかっ!!」
「だったら、答えは判りきってるじゃねぇか」
「でもっ!!私の都合で、貴方やジャック・オーさんにご迷惑はかけられませんっ!!!」
何でこんな事私の口から言わせるの!?とばかりに私はその場で涙が止まらなくなってしまう。
「誰がテメェの都合で振り回されて迷惑だっつったんだ?」
「…だって、貴方はっ!?」
「俺が、何だ?」
「…あの時…ソルさんが、ジャック・オーさんを受け止める姿を拝見して、私…心から良かったって思ったんです。
でも、後から自分の感情が何だかわからなくなって…、あの時の私はそれをハッキリ理解していなかった。
でも、今はハッキリと判ってるんですっ!!
だから、私は…これ以上貴方にご迷惑をおかけできませんっ!!!」
「もう黙れ…!…グダグダと本音隠しやがってっ!!!」
「こっちだってっ!!本当はずっと隠し通していたかったんですよっ!!!
病気の説明だけで、それだけで良かったのにっ、
ソルさん、貴方はそれからずっと優しくて、何かある度に気にかけてくれて、苦しい時は常に助けてくれて…っ、
私っ!!!思わず、また勘違いしそうになったじゃないですかっ!?
…どうして私の心を弄ぶんですかっ!?何なんですかっ!?もう、本当に一体何なんですかあ……ッ!!!」
私は無意識に泣きながらソルさんの逞しい胸板を叩いてしまう。
「貴方は酷い…!!」そんな言葉を何度も投げかけて、ひたすら叩いて泣きじゃくる。
「そんなもん、今更気付いたのかよ」と叩いていた私の腕を掴み、ギュッと抱き締められてしまう。
「ソルさんっ!?…イヤっ!…は、離して下さ…」
「離すかよ。…わざわざ狙って墜としにかかった獲物を易々と見逃せるか」
「…え、獲物っ!?」
「エルフェルト、テメェが感じた通りだ。…ま、だが俺はテメェを弄んだつもりは無いんだがな。」
「そ、それってつまり…、かっ…身体目当てって事!?…下心丸出しじゃないですかっ!!!」
そんなの斜め上通り越してもっと酷かった!!と泣き叫ぶ私に、ソルさんは何故か呆れかえっている。
「…ったく、テメェが身体目当てだけで、こっちに転がり堕ちてくるようなタマかよ…
エルフェルト、テメェ程、強欲な奴は俺は知らねえな。
あれだけ独りにさせろと語った俺を、独りは駄目だと宣い散々振り回しやがった、忘れたとは言わせねぇ。」
「え!?だってそれは…!!…その時はそう思ってしまっただけで…、私…私は…。」
「俺は、テメェの真似事をしているだけだ」
「ま、真似事…?」
「俺を“独りにはさせたくない”んだろ?」
そう言いながら、ソルさんは、そんな言葉の意味とは正反対に、まるで私を“独りにさせるか”って訴えてくるかのように、
閉じ込めるように抱き締めてくれる。
「そ、そんなの…狡い…!狡いですよ…っ。
私が…貴方にあがなえない事知ってる癖に…!!」
そう上目で睨む私の目から溢れる涙をそっと拭い、
貴方は私を“まるで心から愛おしいものを見つめるように”視線を向けて、私の頬に口付けた。