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この愛欲が泡沫の夢と悟るまで。

R-18

 

「…ソルさん……ッ…ソルしゃ…ん…ッ……そる…さ…ぁ…!」


鼓膜に降り注ぐ甘く呼び掛ける己を示す“言葉”に、自身の脳が、身体が芯から熱くなる。
柔らかく艶がある髪を撫でさすりながら、あたかも自身の所有物かのように目の前の柔く弾力のある唇を舐め、吸い、貪った。
テメェには俺しか居ない。さっさと自覚しやがれ…!
そんな激しい承認欲求を目の前の女に叩きつけるように腰を奮った。


「……ッ…そるしゃんの……また“おおきく”なっ…ッ…
だめ…!らめえ゛ッ…!ぎもちい…っ、きもぢい゛ぃのぉお…!!!…あ゛っ…ア゛っあ゛ーーー!!!!」

「…そうだ…エルフェルト…ッ! 
テメェの“此処”が気持ち良ければ、俺の“コイツ”も最高の気分って奴になれる…!…その声で“俺”を呼びやがれ…、

それが“真実”になっちまう…………ッ!!」

枕に頭をこすりつけて、激しく弓形に反るエルフェルトの腰を掴み膣奥に自身の暴君を突き上げる。
オーガズムで搾り取られるように締め上げてくる圧に逆らうこと無くそのまま快感を吐き出した。

ひたすら止まらない射精が気持ち良過ぎて無意識に唸り声を上げ思わず歯軋りをする。顔や額から汗が吹き出し、

オーガズムでガクガクと小刻みに揺れる白い裸体に己の汗が滴り落ちる。
こうして目の前の女と交わる度に幾度も吐き出された“愛”は

新たな生命を産み出す事無くダストボックスへ破棄される運命(さだめ)って奴にふと惜しい気分に陥り、激しくその思考を追いやった。
快感に支配され過ぎたが故に遂に思考がバグって来やがったな…
冗談にしても悪趣味過ぎるが、自身の身体が思考停止した脳の代わりに本能に付き動かれそうになるのを必死に堪える。

オーガズムから落ち着いたエルフェルトの膣から己のイチモツを抜き、己の欲に溢れて満たされたスキンを取り去る。
幾度も欲を射精(はなっ)た筈の“暴君”は未だに目の前の獲物を欲し、テラテラと光り唆り上がってる様子を視界に入れ、

己の肉体の真正直さに呆れた笑いを浮かべる。

「…だろうな…、今まさしく“手に入れられる筈も無い”と自覚し思い込んでたモンを“合法的に手に入れちまってる”状況だからな…」

だからと言って、生で中出しするにゃリスクがデカ過ぎる。
そんな脳内の理性が己に改めて問い掛けやがる。
だが…疑似妊娠しちまった女に“種付け行為の疑似体験させる”っつうのも悪くねぇだろ…
ふと過ぎった己の欲望を実行するべく、気絶寸前で呼吸を乱して身体を投げ出している目の前の女の身体を引き寄せ、新しくスキンを身に着けた己の反り上がったイチモツを奴の秘部の入口にゆっくりと這わせる。
休みも無く何度もまぐわった後の即の挿入に、

驚きの表情で見つめてきたエルフェルトの唇に今度はゆっくりと己の唇を重ね舌を絡め合っていく。
幾度も重ねた口付けに慣れたのか、此方が催促せずとも舌を出し強請るように俺の舌と絡め合った。それに思わずゾクゾクした。

「…………エルフェルト…俺とテメェとのガキだ…
男が良い?それとも女か…?」

「……え…?」

先程から休憩もなく散々オーガズムを決めまくり、

挿入しながらも身体を完全に寝具に溶け込みうなだれていたエルフェルトの身体を引き寄せて耳元で囁く。
思考も斑(まだら)で、虚ろに空を見つめる女の頭を撫で、回答を促せる。

「…ソルさんとの…子供…?」

キョトンとした表情から、何かが脳内に掠めたのか、どんどん奴の頬が赤く染まる。

「…え?…そ、そんなの…ッ!夢のお話過ぎます…!」

「そうだ、“もしもの話”っつうヤツだ。先程のテメェが“そう望んだ”ようにな。
この“夢物語”の世界では、エルフェルト…お前が望めば何でも手に入る」

「…で、…でしたら私…、男の子…男の子が良いです。
ソルさん似の…男の子…。とっても…可愛いだろうなって…」

「俺似の野郎か…ロクなもんじゃなさそうだがな…」

俺の苦笑いに目の前の女は此方に顔を向け、頬を染めながら夢見るように微笑う。

目の前の存在の手を取り己の唇に引き寄せ、触れるだけの、だが、わざとらしく音を響かせながら指先や手の甲にキスをした。
エルフェルトの驚きの表情に思わず笑みを浮かべちまう。
わかりやすく鳥肌を立て、俺からのその行為を全て焼き付けるが如くその大きな眼を見開いている。かと思いきや、

その海の水面を思い出すような瞳から、溢れた涙が頬を伝った。

「あ、いえ、その…っ、ごっ、ごめんなさいッ!そんなつもりじゃ…!」

「…何も言うな。只、今起こってる状況だけを信じろ。いいな…?」

柔い頬に溢れる涙をそっと拭い、そっと拭い取る。
黙って頷く目の前の存在に笑いかけた。

「…そうだ、良い子だ…」

その一言に身体を震わせた女を抱き締め、額に口付けした。




◇◇◇◇◇  




「………!!!だめッ!!?もうダメッだめだめッダメれすからッ!!!かっ、かんべんしてくらさっ…ッ!!…お゛っお゛っあ゛ぁぁあ゛ーーー!!!」

「…ッ…テメェの中、俺のモンを“離さねぇ”とばかりにねっとりとまとわりつき、柔く強く締め付けといて“駄目”ってのはなんだ…ッ?
“良い”と言えるまで耐久レースでも開催する気か…?

それにだ…エルフェルト、お前自身が“俺似の野郎”がいいと言っちまった手前、

今更止める訳に行かないだろうが…っ
まあ幸いにもだ、21世紀後半から人類は既に男女の産み分けの理論は確立させている。

男児を授かるにゃ、最奥で何度もアクメを決め、酸性濃度が高めの膣内をオーガズムでアルカリ性に傾かせ、

Y染色体遺伝子の精子を生き残らせる事がセオリーだとな…!エルフェルト…!覚悟は出来てるか…ッ!?」

「こッ、これいじょうッ……お゛ぐ…いじられたら…っ…!!!
…い゛ッ…イギすぎてっ!!…あ゛だまおかしくなっぢゃあ゛…あぁあぁあ゛…お゛ッオッぉお゛ッ…!!!」

まるで腹の底から叫ぶように矯声を荒げ、ガクガクと小刻みに身体を震わせながら激しくイく女の最奥で、自身の荒ぶりを開放した。

「…………グっ!!!………は……ッ………。」

放つ瞬間、一旦スキン越しである事を脳内から取り払い、
この孕ませたい女の膣の最奥で、自身のモノが生で放ってるんだと思い込みながら射精(だ)せば、

思わず歯軋りで耐えていた喉から発せられる自身の唸り声が耳に入る。
もっともっと奥に注ぎ込みたいと、放ってる最中にも小刻みに突き続ければ、

余りの快感からか勢い良く潮が放たれ俺の腹を遠慮無く濡らした。

指で技とらしく潮を吹かせるように誘った際、顔を真っ赤にしてひたすらに恥ずかしがっていた女の姿は、

今や激しい快感で意識が飛んでやがるのか、寝具に項垂れて、微かな声と共にピク…ピクと、身体を戦慄かせるだけになった。






◇◇◇◇◇






「…っ、あっ、ひゃん…!!…な、…なんでおっぱいばっかり…!?

ソルさんの身体が…そ、その…私の…母乳で…汚れちゃいますからぁ…っ…!」

「…構いやしないだろ。此処は浴室のシャワーブースだ。気にせずテメェの快感に集中しやがれ。
気持ちいいんだろ…?今のお前は乳首だけでイく事が出来そうだろうが。」

そう私に語りながら、母乳でベタベタになってる私の胸を優しく揉みしだきながらギュッと乳輪を何度も摘まれ、

その度に身体がビクビクと戦慄いてしまう…
何度も何度もそうされて、態とらしく乳首の方まで至らないからか、私はだんだんジレて来て、涙目でソルさんに訴えてしまう…

「ソルさん…ひどい…!…それ…っ、わざと…なんれすかっ…!?…ふぁ…ん、ッあん…!このまま…このままじゃあ…!!!」

「…言われなきゃ判らねぇよ。望みがあるなら自己主張するんだな…?」

「せっ、…せんたん…っ」

「尖端がどうした?」

「……っ!!!…もっ…もどかしい…ん…です…、だから…っ」

「だから何だ?」

「〜〜〜〜〜〜っ!!!
…さっ、さわってくださいっ!!! こっ、…コレで満足ですかっ!?
………んぉあ゛!!!!♡♡♡」

私の言葉と同時に焦れてもどかしかった両胸の尖端からの刺激に、思わず仰け反ってしまい、

女の子の入口への刺激なんて一切無かったのに、腟内がキュンキュンして、

何故か水みたいなのもが噴射されて、恥ずかしくて涙が溢れてしまう。

「…な、なんで……」

「ずっとイキッぱなしだったからだろ。ま、かえって此処で良かったじゃねぇか。ベッドだとまたお前の愛液でシーツが汚れちまってたな。」

「あ、ぁぁあ゛!!なめるのらめぇええ!!!」

私の身体をシャワーブースからパウダールームに運び、大理石で作られた洗面台に座らせれる。
そのまま私の乳首を咥えて舌で嬲って分泌液を絞り取る作業に没頭してるソルさんの下半身の、

興奮してそそり立つソレをヤケクソ気味に掴み、態とらしくゆるゆると優しく指を伝うように触れ、睨み返す。

「っ…そ、ソルさんだってっ!!!、じれてつらいおもいすればいいんです…よ…っ」

「…焦れるどころか、却って“良い”まであるな…そいつは…」

そう言って私の頬にかかった色んな分泌液を舐め取り、そのまま互いの唇を重ね、

ベッドでの行為の時とはまた違う優しく触れるだけのキスをされる。

「……触れる場所…何もかもが柔い…。見てみやがれ…エルフェルト…俺の中指と薬指がお前のエロ穴に簡単に飲み込まちまう。」

「…っ…ふ………」

私の視界に態と映るように、両脚を捕まれM字開脚にさせられる。
ゆっくりねっとりとねぶるように私の下半身の入口に何度もソルさんの中指と薬指が行き来する様子と、

そう譫言のように私の頬を撫でながら呟く言葉に、私は思わず恥ずかしくて視線を反らしてしまう。

「先程お前が自分でこねくり回してイッちまった突起が旨そうに膨張してやがる…」

「う、旨そう…って…???
っ、え!?!?だめっ!!!そ、そんな所…!?な、舐めないでくださいっ!?!?…き、汚い!!汚いれすからぁぁあ!!!
あ゛ぁぁあ゛っ!?…らめぇ!!!はむはむしちゃらめぇれすっ!!!
舌でころがすのもだめぇええっ!!!吸うのはもっとだめぇええぇええ!!!!
あ゛っ♡あ゛っ♡あ゛っ♡♡♡
な、なんかきちゃ…きちゃうのぉおおおお゛ぉお゛っ、お゛っ♡」

ソルさんの唇で、私のプクッと膨れたクリトリスを咥えて吸われて弄られてる最中も、女の子の入口で何度も出し入れされてるゴツゴツした指の関節一つ一つまで感じてしまう…。
気持ちいい…!気持ち良すぎて頭が真っ白になって腰が勝手にカクカクと動いてしまう。

「そるしゃんの指ふとくて私のいいとこ擦れちゃ…っ!?
ぁぁああッイクイクイグイグぅうううッイグ!!!イッちゃうぅうう゛ぅうう゛♡♡♡♡」

腟内がギュンギュン締まって頭が真っ白くなる。次の瞬間私は海老反りになって思いっきりイッてしまっていた。
イッたと同時に先程も意識せずに出てきたお水みたいなものが噴射され、ソルさんの掌や腕を容赦なく塗らしてしまい、

私は尚更恥ずかしくなってしまう。

また…私…っ!?と半泣きで訴えれば、「尿じゃないから安心しろ」と、放たれた分泌液でベタベタの腕をペロリと舐め取るソルさんの姿。

「そんなの…舐めちゃ…!?」

「ほぼ無味無臭だ、ま、だがテメェの…発情した雌の臭いがプンプンしやがる…」

「そ、その言い方やだぁ…っ、はずかしい…!!」

「…っ、たく…、…テメェのその態度…さっきから俺を煽ってやがるだろうが…。俺のモン…もう一度テメェの中に挿れさせろ」

「…えっ!?ま、またっ!?またですかっ!!!
も、もう…勘弁して下さ………っ!!!ぁぁあぁぁあ゛♡」

「っ、は……、寧ろ…“テメェの中”が、“俺のモン”の本来の居場所すらあるだろ……コレは…」

そう、耳元で軽くて呟きながら感嘆と溜息を漏らす目の前の人に、私は思わず、聞き返してしまう。

「ソルさん…やっぱりさっきっからっ、なにかっ…おかしくないれすかっ!?だって…!だって…“あなたは”…」

思わずそう叫んでしまう。

「エルフェルト…そいつは“今更”ってヤツだぜ…。さっきも言ったが、コイツは“泡沫の夢”って奴だ。
そんなもんにいちいち気をもんでみろ……、後から思い出して“互いにしんどくなるだけ”だろうが………」

「え…?…今…なんて……?」

「…気にするな。ただの戯言だ。」









◇◇◇◇◇


 






「…っ、……そういえば私………
気が付いたら此処に運ばれてこうなってたんですけど…もうベッドルームには戻らない感じですか…?」

湯を貼ったバスタブに座らせられ、互いの塗れた体液を流す為になのか、ソルさんは遠慮無く目の前のシャワーを捻る。
未だに明るい場所で裸を見せるのは抵抗があって、必死に隠しながらバスタブで小さくなっていたら、

容赦なくシャワーを浴びせられて思わず顔を上げる。
羞恥心なんて無縁な目の前の人の全身全裸姿を垣間見てしまい、恥ずかしくて慌てて俯いた。
私のそんな様子なんて気にも止めなく、私の身体にお湯をかけつつ質問に淡々と応えてくれるソルさんに少し釈然としないけど、

お湯の暖かさに少しだけ気が解れ、ホッと息をつく。

「テメェが出した愛液や母乳やらで、ベッドシーツが散々になっちまったからな。今、城のメイドの奴等が片してる最中だろ。」

「…そ、それ…本当ですか…!?」

その事実にショックを受けて息を呑んでしまうも「そんなもん気にするだけ無駄だ」と、ぶっきらぼうな言葉とは真逆に、

優しく抱きしめられながら背中を撫で擦られて、思わずソルさんの腰を掴み、

案外筋肉が柔らかい胸板にお顔を擦りつけて、ごめんなさい…と呟く。

「…わ、私のせいで…ソルさんのベッド汚してしまって…お城の人達にもご迷惑をおかけして…」

「ったく…お前をそうさせたのは俺だろう。
それに汚れたのは俺のベッドだ。そのベッドの主が良いっつってるなら気にするだけ野暮じゃねぇか…
それに城の奴等もだ、城の主が良いっつってる事に文句もクソもあるか。
奴等は雇われてる身だ。今回の件に不満があるなら城の務めを辞めるだけだろ。」

「そう…ですけど…!でも…っ!自分でしてしまった粗相を他の誰かの方にお片付けお任せするの…物凄い恥ずかしくて…っ」

そう必至に問い掛けるように顔を上げてソルさんに訴えるも、流れるようにおでこや頬に口づけを落とされ、

私は思わずぼーっとしてしまい、今の行為で思考が誤魔化されて有耶無耶にされたと気付き

思わず頭に来てしまい、「私のお話真面目に聞いてますかっ!?」と強めの口調で訴えてしまう。

「…お前相手だと割と聴いてやってる方ではあるんだがな…?
シンなんぞ聴いても語っても無駄だ。理解するのに手間かかりやがるし、アイツはそもそも覚えちゃいねぇしな。
カイの野郎は此方の返しに何倍にも屁理屈と説教で返して来やがる。
エルフェルト、お前も出逢い当初は解読するのに手間がかかっちまったがな…
ま、お前の場合、語り合いよりかこうして“身体に直接聴いた方が手っ取り早い”っつう事が判っちまった。

上の口よりか、下の口の方がよっぽど素直だろうが。
そのままお前は俺の“モン”で素直に愛されてろ。
理屈や正論なんぞテメェには似合わねぇな。…俺が欲しいんだろう…?」

私の頭を撫でさすり、そう語るソルさんのお顔をマジマジと覗きこめば、視線が合い、どうした?とばかりに優しく見つめ返されて、

私は思わず頬が蒸気する自身の頬を抑えながら、ずっと脳内に過ぎっていた不安と疑問とをつい一気にぶつけてしまっていた。

「……ソルさん…前程から本当に一体何があったんですかっ!?
やっぱりこんなの…!!絶対に…おかしいですよ…っ…!!
私は…っ!!確かに貴方の事が…好き…です…
でも…!貴方には…大切な方がいらっしゃいますよね!?
…私…っ、私は…未だに目覚められないジャック・オーさんの“身代わり”ですかっ!?
貴方に…優しくされる度に…こうして“愛される”度に…
私ではダメなんだっていう想いにかられて辛くなります……だからっ!」

「…だから、何だ?
お前が散々駄々を捏ねやがるから聴いてはみたが、こりゃ聴くだけ無駄だったみたいだな。

俺が何時何処でエルフェルト、お前を“アイツの身代わり”だと伝えた?

勝手に決めつけてるのは俺じゃねぇ、テメェの方だ。…よく思い返してみろ。」

「思いかえすも何もっ!貴方が還ってきた彼女さんを抱き留める姿が…その時の貴方の表情が私の脳裏から消えていきません…
あ、あんな…あんなの見せられたら…私……私っ…!貴方の事…何度諦めよう…って……」

その光景を思い出して…思わず瞳から涙が溢れる。

「なんだ、只の嫉妬か。だがまだ本音じゃねぇな…?
何時までテメェは“物分りのいい良い子ちゃん”を続けるつもりだ…?
嫉妬っつう事は、お前が“そいつに成り代わりたい”。そうゆう事だろうが。
欲しいモンを手に入れる為に争う…?上等じゃねぇか。
俺は産まれて此の方そう生きてきた。
性別なんぞ関係無ぇ。男だろうが女だろうが、欲しいモンを手に入れる為に戦うなんぞ生物の性だぜ。」

「私も…そんなふうに…思えたら……
でも…やっぱり、私には…………誰かを犠牲にして…手に入れる幸せなんて………」

そう呟いていたら、自然ととめどなく涙が溢れてきて、必死に泣き止もうと思ってるのに気持ちがコントロールできなくて、

遂にソルさんの前でしゃくり上げながらボロボロと泣いてしまってて、自分でも止める事が出来なくなってしまう。

「…っく、どうして…止まらないの…ッ…!?…感情ってどうして…こう…!
ひっ、ぐ…、ごめんなさい…っ…こ、このままだと…め…めんどくさい女…ですよね……」

「……とりあえず、深呼吸だけしてろ…」

そう言って、私の身体を抱き締め、背中をトントンとリズム良く優しく叩かれ、擦られて、

私はソルさんの身体にしがみつくように抱き締め、その安心感からか、不規則な呼吸は止まって、ホッと一息つくことが出来た。

…あ…このまま…ソルさんの腕の中で眠ったら…気持ちいいんだろうな…

でも…そんなの…だめ…

起きて…なきゃ………

そんな事を思いながら私はいつの間にか意識を手放していた………。






◇◇◇◇◇






自分は愛される資格なんぞ無いと泣きじゃくり己にしがみつき、

そのまま意識絶え絶え眠りに落ちた女の柔い頬についた涙の跡を拭い口付ける…。

「……まるで、It is like talking to a wall. (暖簾に腕押し)って奴だな…」

罪悪感に苛まれ葛藤する姿に、幾ら此方の本音を伝えた所で意味も成さない事を突き付けられ、男は小さく溜息をついた。

 


 

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