DORAGON
DOES
HISUTMOST
TO HUNT
RABBITS
D
oragon
rabbits
&
R
紅と黒の残された遺物 【三章】
R-18
「Guns N' RosesのYou Could Be Mine…
エルフェルトがさ、自分でレンタルしたウェディングドレスおぼえてる?
そこお腹の辺り…あーそうそう丁度子宮の辺りか…そこに記されてた。
『お前は俺のものになればいい』
‘’そんな言葉‘’を子宮近くに書いちゃうあのウェディングドレスのメーカー、なかなかクレイジーだったね…
つい愉しくなって、僕もエルフェルトに着せるドレスに色々言葉を載せたんだけど、ソル君…君に伝わってたら嬉しいなあ」
「…安心しろ、あんな不吉な羅列を書かれたもん、さっさと着替えやがれと伝え済だ。」
「あれ…?あのドレス、君も気に入ってくれると思ったんだけど…」
イリュリア城のとある区画の一室。そこに一人佇む男に、場に居る全員が警戒を剥き出しに身構えてやがる。
「…エルを何処にやったの!?エルを返して!!」
その中で一際殺気立つラムレザルに、“第一の男”は、優しく微笑み、
「ラムレザル、君はだんだんと感情が育ってるようだね」と呟いた。
「うん、これが娘の反抗期ってやつなのかな。にしては少し早い気もするけど…、
エルフェルト、彼女は自らあの世界線に旅立って行ったよ。
あちらの世界の…ソル君に逢う為に。」
「は!?どうゆう事だよ!?オヤジは此処に居るぜ!?」
奴の言葉に食い気味に反応するシンにお前が喋るとややこしくなるから黙ってろと促した。
「貴方がその手助けをしたのね…“ハッピーケイオス”…」
「うん、そうゆう事だね。君は全て理解していたんだね、ジャック・オー。
君とエルフェルトはある種の似通った存在だからなのかな。」
「あの日の夜…エルフェルトの決意は揺るがないものだった。私やフレデリックからの説得も結局は…」
「貴方やソルの説得もエルは応じなかったの!?」
「ラムレザル。ええ、私の言葉は疎か、フレデリックからの言葉すらも通じなかったとしたら、もう…誰も…」
「…何かしら含んでやがるなとは思っていたがな…。クソ…よりによって…あの時代に………」
「…オヤジ…?…エルが行った場所ってそんなにヤバいのか!?」
「まさにこの世の地獄を盛り合わせたハッピーセットってヤツだぜ…」
「は!?」
「ソル…!?またお前は適当な事をシンに…。エルフェルトさんが自ら身を投じた時代…
シン、お前も幾度かは聞いた事あるだろう?ギアとの聖戦戦争…、大量発生したギアに人類が追い込まれ、
まさしく絶望の最中の時代さ…」
「どうゆう事だよ!?それってめっちゃ過去じゃんか!?」
「そいつを目の前の胡散臭えコイツに聞き出す為に呼び出したっつう事だ。」
「おお、成る程!解ったぜ!」
「そりゃ良かった。」
「シン=キスク君、君…面白いね!物事を吸収する姿、眩しくもある…!
そう!知らない事が恥じゃない。自分が無知だという事を自覚しない事が恥なんだ…!無知の知ってやつだね。」
「ま、ソイツに感じては、シンは確かに優秀だがな」
「褒められたぜ!」
「…ったく、で、テメェが、わざわざエルフェルトを異界に飛ばした理由はなんだ?
エルフェルトの戯言の願いを叶えにやってきたのか?」
「うん、その理由もあるね。でもエルフェルトが此方の世界に居たいというなら僕はそれでも構わなかった。
でもあの子はアグレッシブだからね。そして君に何かを教わったのか、諦めも悪くなった。
足掻いて必死だったから、僕は手を貸したくなった。でも理由はそれだけじゃない。
あちらの世界線が此方の世界線に干渉してる理屈の解読が難航してるから、
あちらの世界が滅びる理由を潰したかったってだけ。」
「エルフェルトを飛ばす前にだ、テメェや飛鳥なら世界線の干渉なんぞ安易に解消しそうなもんだろうが!」
「うん、そうだね。それも否定はしない。多分時間かければ解読して解除まで行き着く気はしてるよ。
でも、それだと少し時間に追われてしまう。」
「…後からタラレバを並べ立てられて納得出来る程俺は“人間”出来て無くてな…?」
そう言葉を絞り出し思わず奴のダサいジャケットの首元を掴んでしまう。
「やっぱり君も面白いね…!エルフェルトを選ばなかった君が此処の誰よりも一番エルフェルトを失って憤ってる!
そして君が憤ってる理由も、君の過去、現在、全て調べ尽くした僕には理解が出来る。
…今、まさしく君は、過去の自分に…!」
「それ以上は黙ってろ……」
「…“種”を失う前の君なら今僕はまさに消炭にされていたね…!」
まるで目の前に大好きな玩具を手に入れた子供のような表情で嘲笑う目の前の男に、
思わず舌打ちをし、ジャケットから手を離した。
◇◇◇◇◇
「…?…ソルさん…?…私のお顔を先程から見つめて…どうしたんですか…?」
現在互いに裸のまま、先程まで激しくまぐわっていた形跡が部屋に散乱し、
己の制服やコイツの衣服やら下着やらが、カーテンから微かに漏れ出る朝日に照らされている。
「…目が覚めたのか。それとも起こしちまったか…」
そいつは悪かったなと呟きながら、自身の腕を枕にして寝ていた奴の頬に触れ、己の顔を近付けそのまま額に口付をした。
その直後、直ぐ様頬が色付き、しどろもどろでシーツに潜ろうとする奴の動きを止める。
「ったく、“こうなる事”がお前の望みじゃないのか」
「そ、そうですけどっ!ソルさんが先程からずっと優しくて…な、なんだか恥ずかしくて思考が追いつかなくて…ッ!」
「なんだ?もっと激しめのプレイの方が良かったのか…?次からは…」
「そ、そうゆう事じゃないですッ!!!
わ、…私の事…本気で好きになってくれたのかなぁ……?なんてぇ…♡ でも、ソルさんに限ってそんな…!」
「テメェ俺を何だと思ってやがる…。まあいい…
だが、気分が良いのは確かだ。久しぶりに心底満たされたからな。」
「え、えっと…満たされたというのは…」
「…自家発電でも、まあ…悪かないんだが、SEX出来りゃそれに越したモンは無ぇしな。
奴からの手紙にも書かれていたが…身体の相性っつうのは…案外馬鹿には出来ねぇって事かよ…」
「え゛!?ソルさんが、急に優しくなったのは…
私とのエッチが…とても気持ち良かったからって事ですか!?そ、それってなんだか複雑な気持ちに…!!
セックスフレンドだったけど身体の相性良すぎて恋人になっちゃいましたぁ♡的な!?」
「卵が先か、鶏が先か…そんなもん考えるだけ不毛だろ。切っ掛けは何であれ、
テメェが俺を陥落させたのは事実だろうが。」
「わ、私…ソルさんを陥落させたんですか…?」
「寧ろ俺を此処まで焚き付けやがったテメェが、“やっぱり違います”とか言い出すのか?
…だったら寧ろ俺がテメェに弄ばれたっつう事になる。こりゃあ責任取って貰わねぇとな…?」
「も、弄んだなんてっ!?ご、誤解ですっ!!!」
「ったく、冗談だ。お前がそもそも男を弄ぶなんぞ出来る女なら、もっと違うやり方で俺に仕掛けてくる筈だろうが。」
「むー…やっぱりソルさん、私の事馬鹿にされてますよね?」
「寧ろ褒めてるんだがな。」
褒められてる感じしませんよ…!と少しむくれて拗ねる目の前の女の身体を此方に引き寄せて抱き締める。
互いに素肌のままだからか、自身の身体に触れている全ての部分が柔い。
…こりゃまたムラッちまうかもだが、時間的にそうも言ってられねぇと、
己にかかっていたシーツを一気に剥ぎ取りエルフェルトの方へ投げる。
「え!?きゃっ!?………って!!!ソルさん…!?…ま、まっ、真っ裸ですぅ!!
なんでこんな明るい中堂々と仁王立ちされてるんですかっ!?
服!!!早く服着てください!!!じゃないと直視できませんっ!!!」
耳まで真っ赤にさせてワタワタしだす目の前の女に、思わず吹き出してしまう。
とりあえず、床に散乱してあった聖騎士団の支給のスウェット型のパンツを拾っては履き、
黒い伸縮性と耐久性があるインナーに袖を通し身につける。
「エルフェルト、何カマトトぶってやがる…テメェもギアだろうが。
夜目はどうした?テメェの“父親”はわざわざ都合良くお前にだけ夜目が効かねぇように設定したのか?」
「あ゛っ…!そ、それはぁ…その…気持ち的な問題というかぁ…
夜だと…女子が積極的になってもはしたなさが軽減される的な…」
「因みに“俺等”(聖騎士団)は、ギアの活動時間に合わせた行動が主だ。夜に悠長に休んでられると思うなよ。
今回、テメェがあの超大型ギアの飛空ドラゴンを制した事で、偶然休暇が湧いて出て来ただけだぜ。」
「あのドラゴンちゃん、聖騎士団で討伐予定だったんですね?
私、もしかして余計な事してしまったんじゃ…?」
「いや、寧ろその逆だ。効果がありすぎてエグいってもんじゃねぇな。
テメェのその能力の持続時間はどの位だ?」
「魅了効果の事ですか?それなら、特にギア相手なら、永久的にだと思いますよ…?
“あの人”がそう設定したと仰ってましたから…でも…」
「でも、何だ?」
「特殊な能力なだけに弾数は20発しか渡されなくて、一発をあのドラゴンちゃんに使ってしまいましたから、
残り弾数は19発って所なんです。ですから、使う相手をよく吟味しないとあっという間になくなっちゃいます。」
「成程な、流石の『第一の男』でもだ、あのエグい効果の弾数を大量に生み出す事は困難だったって事か…」
「ですがっ!この“マグナムウエディング”が無くても、私そこそこ戦えます!戦場に是非ともご一緒させてください!!」
そう目を輝かせて張り切って胸を張るエルフェルトに、俺は心底嫌な顔をして舌打ちをする。
「テメェ、そのペラッペラな衣服で戦場に出るつもりか?生憎だが、
テメェのサイズに合う騎士団の制服は今は一着も無え。良いからテメェは大人しく此処に居やがれ。」
昨日の夜に己が脱がした、床やソファーに散乱してるエルフェルトの衣装に指を刺す。
溜息がてら言葉を吐き捨てた瞬間、シーツを纏ってベッドから立ち上がったかと思いきや、
法力魔法陣を生み出し一気に衣装を変化させ、
態とらしくくるりんと俺に見せつけるようにドヤ顔を決めるエルフェルトの姿。
「大丈夫です!今法力で出した此方のウェディングドレスは耐熱性、耐氷性、耐冷性も備わってますし!
耐衝撃性能もあります!武器もライフル、ショットガン、ハンドガン、バズーカまで!どんな戦地も対応可能ですよ!
絶対にお役に立ってみせますっ!!!」
「そのデザイン…百発百中“テメェの糞親”の趣味だな…」
「あ…やっぱりわかります…???
私的にはもう少し色味が欲しいんですけど…“あの人”的にはめちゃくちゃ似合ってるとは言ってました」
「強ち戦場の花嫁かよ…。硝煙と血煙と死体に塗れ焼け落ちた教会…神父なんてモンは居なく、
滅びかけの世界で新郎新婦二人きり。床に転がり錆び落ちた鐘を新郎自ら拳で鳴らし、新婦に誓いの言葉を立てる…。
“病める時も…健やかなる時も…死が二人を分かつまで”
ハッ、如何にもなコンセプトだぜ…」
「す…素敵過ぎますぅううううっ!!、…ソルさん…!私を滅びかけの教会に連れ出してくれますか…!
そして二人は永遠にぃ………!!!…って痛い!!!なんで急に頭叩いたんですかっ!?酷すぎますっ!!!」
「…わかりやすく目を輝かせてんじゃねぇ!」
「だって…!その想像…素敵過ぎて…!!!お、思わず鼻血が…!!!」
「そもそもだ、その胸を恥ずかしげもなく曝け出しまくってる奴を、
聖騎士団の野郎共が居やがる戦場に連れて行くつもりは更々ねぇな。」
「ええええええ!?そんな…!!!
でしたら!!!上着だけでも何方かのを貸して頂けたら…!!!」
「そんなもんは無え」
「殺生なぁぁあああ!!!」
私は思わずソルさんの腕にしがみつき、ソファーの上にかかっていた聖騎士団の上着を持ち扉から出ていこうとする
ソルさんを必至に止める。
そんな必死の攻防の最中、ノックの音の後扉が空き、副団長であるポチョムキンさんが
「団長、時間だ。」と一言の伝達が部屋に響いた。
「…団長?…済まない、取り込み中だったか。」
「…いや関係ねぇ、さっさと行くぞ。」
「待ってくださいっ!ポチョムキンさん!私も戦場に連れて行って下さい!!!絶対に…お役に立てる自信があります!」
「それは私からも是非頼みたい。だが…、地上の光景は悲惨なモノだ…君みたいなうら若き乙女には、
残酷過ぎる光景やもしれん…」
「うら若き乙女だぁ?何言ってやがる。目的の為に手段なんぞ選ばねぇ図太い女だろコイツは…」
「ソルさんは少し黙ってて下さい。」
「ああ゛!?」
「ポチョムキンさん…心遣いありがとうございます。でも私、一度地上で大量のギアに囲まれたりしましたし、
その際に色んな滅んだ街も見てきました。ですから大丈夫です。
でもこの格好で団員さん達に会ったら何やら皆さんにご迷惑おかけしてしまうらしいので、
何か羽織れる上着か何かありましたら貸して頂けたら…!」
「…いや確かに…その衣装は…目のやりどころに困る。上着の件承諾した。…が、今回上着は団長から借りて欲しい。
私の上着は君には大き過ぎる。そして他の団員に許可を取る時間が惜しいのだ。団長、良いな?」
「おい、ポチョムキン!テメェ…!」
「団長の、“彼女”を戦地に赴きさせたくない気持ちは重々承知してるつもりだ。
だが…彼女の成すべき事を思えば、連れてかざる得ない筈だ。」
ポチョムキンさんの言葉がけに、眉間をしかめたソルさんは、
少しの舌打ちと深い溜息の後、ソルさんが手に持っていた聖騎士団の制服の上着を私に向かって投げ、それを私は受け取る。
「あの、これ…!」
「とりあえず今はそいつを着てろ。後からテメェのサイズに合うモン見繕ってやる…」
「ですがこれ借りたら、ソルさんの着るモノが…!」
そんな私から訴えに気にも止めず部屋のクローゼットを力強く開け、未来で見慣れていた、
ソルさんといえばコレって程のイメージがある“ROTO”の赤い革ジャンを取り出して羽織り、
「さっさと行くぞ。」と扉のノブに手をかけて部屋から出ていく後ろ姿。
私は慌ててソルさんが昨日まで着ていたらしき聖騎士団の制服の上着に袖を通して、
胸が一切見えないようにボタンを全て止めた。
余りにも袖がぶかぶかだったので袖を上げて、ダボダボのウエストもベルトで絞って止める。
そして慌ててソルさん達を追いかける。
「今から奴等(団員)にテメェの事を紹介するが、とりあえずテメェの目的の事は伏せてろ。
余計な憶測や波紋を呼びかねねぇならな。」
「…でも…!それだと嘘ついちゃう事になります…。私の目的の為に、皆さんの命をかけて頂くんです…
私の正体や目的を正直にお話しないと駄目だと思います。」
「…ったく、テメェは!!」
「団長。彼女のしたいようにさせるべきだ。彼女の話を聞き、
納得出来ないモノは辞退する選択肢も確保しなければならない。確かに戦力が著しく低下する事は避けられない。が、
戦う意志が無いモノは…簡単に命が消えて行くからこそ、団員達にも選択を選ばせるべきだ。」
「……………、チッ…。好きにしろ。」
◇◇◇◇◇
法力シップの大きいエントランス。
前を歩くソルさんとポチョムキンさんの後ろ姿に付いて行き、私も大勢の団員さん達に組まれていた台に一緒に登った。
「テメェらももう知ってるとは思うが…コイツがあの超大型ギアを手懐けたバケモンだ。
だが幸いにも、コイツは人類を救いたいと、この聖騎士団のシップ単独乗り込み、
俺達に協力してくれと言ってきやがった。そんな女が…テメェらに話があるんだとよ。
…エルフェルト、前に出ろ。」
「は、はい…!聖騎士団の皆さん…はじめまして…!
私の名はエルフェルト=ヴァレンタイン…。
貴方方が存在し生きてるこの世界とは別の世界線、西暦2188年の未来から、
法力の始祖である『第一の男』の力をお借りして、此方の世界にやってきました。
私の正体は、その『あの男』の手により産み出されし生物兵器…ジャスティスの遺伝子とギア細胞の遺伝子…
色んな要素をかけあわせ創作された人体兵器ヴァレンタイン…その最終形態になります。
こんな外見をしていますが、ジャスティスの娘であるディズィーさ…、いいえ、『ディズィー』とほぼ似たような存在です。
私が彼女と違うのは、“娘”では無く、私そのものがジャスティスとほぼ同一個体という事。
でも、安心してください。私にはジャスティスと違って感情が備わっています。
私は人間では無いですが…人類の事が大好きです。この気持ちは本当です…!
ですから、皆さんの事も沢山知りたいですし、仲良くなりたいです!皆さんの事を…愛したい…!
私にも皆さんと一緒にこの世界を護らせて欲しいんです…!
って…お話が少しズレちゃいましたね…
えっと…、私の目的は、その私自身の素体である『ジャスティス』との融合&無力化。
私自身の肉体と魂が、ジャスティスの力を無力化出来うる鍵そのもの…。
私とジャスティスが上手く融合できれば、ジャスティスの元々の目的である新人類の創生がなされて、
その際にジャスティスはただの無力な人類になります。
私が皆さんにお願いしたい事…それは、
私の素体元である『ジャスティス』の元へ私を運んでほしいという事。
でもそれは、そうそう簡単に出来る事ではありません…。
皆さんの命をかける事になります…。
勿論、此処にいらっしゃる団長さんや、副団長さんと一緒に私も出来るだけ一緒に戦います。
でも私一人では、この大量のギアを対処する事がとても難しくて…
こんな人間でも無い生物からの頼みを信じられないと思われるのは当然だと思います。
でも…!私はこの世界を救いたい…!皆さんが安心して毎日を過ごせる…そんな世界に…したいんです…!
ですからっ、どうか…皆さん、宜しくお願いしますっ!!!」
私の声がエントランスの広場に反響して響き、その後、静寂が広がる。
私は深々とお礼をしたまま、怖くてお顔を上げれずにいた…。
そんな最中、地面に何か突く音のようなものが鳴り始め、そのうちその音が沢山鳴り響き、エントランスに壮大に響かせる。
私は思わず顔を上げた。
団員の皆さんが私をまるで鼓舞するように、自身の武器を同じタイミングで地面に打ち鳴らしてくれる。
とても胸が熱くなり、目頭から思わず雫が流れた。
そんな私の肩をソルさんは軽く叩き、
団員さん達に「テメェら!覚悟はいいな!?」と声を張り上げた。
◇◇◇◇◇
「各部隊長、揃ったか。」
「ハッ!」
「それでは作戦会議を執り行う。」
副団長であるポチョムキンさんが執り仕切り、団長であるソルさんは、
作戦会議の机とは少し離れた場所のソファーに脚を組み、腕を組んで黙って聞いている。
「我々の最終目的は、エルフェルト殿を『ジャスティス』の元に送り届ける事。
その目的の為にやらなければならない事項がが二つ、
大量のギア退け、ジャスティスまでの道を作る事。
ギアを呼ぶ能力を持ち合わせる『ディズィー』を抑え込む事の二点だ。
各部隊にはそれぞれギアを引き付け、道を確保して貰いたい。
エルフェルト殿は、真っ直ぐジャスティスの元に向かって欲しい。
その際に必ずディズィーが我々の道にたちはばかる事だろう。
その為に団長がエルフェルト殿のバックアップを図るつもりだ。」
「あの…!一つ頼み事があるんです。
私がジャスティスと融合するのには長い時間が必要になります。それを短縮する方法が、
私と融合中のジャスティスに高エネルギー体を受ける事…
私のシステムでは、エネルギーが無くても融合はできます、が…
きっと短縮したほうが、被害も少なく済むと思うんです。
ソルさん…そのエネルギー調達を貴方にお願いしても良いですか?」
「そのエネルギーとやらは、何でも良いんだな?」
「はい。大丈夫です。」
「…了解した。」
私からの頼みにソルさんが承諾したと同時にポチョムキンさんが最後の号令をかける。
「作戦会議は終了する。各隊、解散!持場に付け!」
「ハッ!」
小気味良い返事で各隊員さん達は、作戦会議室から持ち場へと戻って行った。
ソルさんはそのまま椅子に座ったまま動かず、何かしらの精神統一をしてるように見える。
私は少しだけソルさんの方に近付いていった。
「あの、ソルさん、私達がこのシップから出るタイミングは、
皆さんがジャスティスまでの道程を確保してからという事ですね!?」
「の前にだ、このシップを狙うギア共を殲滅しない事には、奴の懐には潜り込めないだろうな…」
『緊急連絡っ!団長!90度方向!飛空ギア軍勢の襲撃!!』
ソルさんとの会話の途中にて、館内に設置されてる法力通信からの伝令が鳴り響く。
「ほら、〝野郎共〟が大量に来なすった。…行くぞ!」
ソルさんはそう声を張り上げ、壁に立てかけてた武器を持ち上げ肩に乗せる。
近場に待機していた団員さんたちも一斉に武器を持ち、持ち場へ走り出す。
「私も行きます!」
「今回の作戦、テメェが最重要だ。わざわざそんなもんが前線に出る必要性なんぞ無いだろうが!!」
「不安定なシップの船上で、相手が飛空ギアなら、私の武器なら絶対にお役に立てます!
前線にはなるべく出たりしませんから…!」
私の強い要望に舌打ちをした後にソルさんは勝手にしやがれと言葉を吐き捨て、
私に合わせていた走り幅をあっという間に船上に駆け上がり、目の前から居なくなってしまう。
「はい…勝手にします!」
私は必死に走りながら、ソルさんが居なくなったシップの廊下で一人呟いた。
◇◇◇◇◇
大きく育った蝙蝠型のギアや、猛禽類のギア、人形だけど背中に翼が生えたギアやら、
沢山の飛行形態のギアがこの大型シップを取り囲み、団員さん達は必死にそれらに応戦している。
私はなるべく前に出ないように、でも、応戦してる団員さん達には当たらないように狙ってライフルで撃ち抜いていく。
あああああ!!!私!エイム苦手なのにぃいい!!!
私の銃の腕前の足りなさを、このキプロスプロジェクトの拳銃がサポートしてくれて、
案外難なく敵を遠距離から撃破出来てほっとしてる。
これを作った“あの人”は、とんでもない人でなし(?)で酷い方だけど、素直にこの技術力は凄いと思う。
ソルさんといえば、他の団員さん達の数倍も激しい戦いを沢山のGEARと繰り広げてて、
態と他の団員さん達に向かう敵の数を引き付けてるようだった。
あの位のGEARの相手ならば、ソルさんは何も問題無さそう…
私は戦いで負傷してる団員さん達の方に慌てて駆け出した。
「大丈夫ですかっ!?」
怪我が激しく歩く事すらままならない団員さんを他の方たちと力を合わせて、救護室に搬送したり、
その場で手当出来る場合は手当したり…
そんなこんなしてるうちに、ソルさんと側近の団員さん達が全ての飛空GEARを殲滅させて、
何やら生き残った団員さん達に指示を出している。
他の皆さんも忙しく駆けずり回っていて、なかなか手が離せなくて、
私は一人で必死に怪我が激しい団員さんの腕を私の肩に回し、引きずるように救護室に連れて行ってる最中だった。
「うーーーーやっぱりガタイの良い男の人は…重たいです…っ…
あっ、そうだ!!!私ってば!抱えて法力で飛べばよかったんだ!!!
…ちょっと浮遊感が気持ち悪かったらごめんなさいッ!!!」
私はそう呟いて、騎士団員さんの胴体を持ち上げて飛行形態になり、気分が悪くならないようにゆっくりと運んでいく。
そんな事を戦闘現場と救護室とを行き来して、全ての怪我人を運び終えたあと後、
流石に法力酷使し過ぎでフラフラと歩いていたら、ソルさんに首根っこ捕まえられベッドに運ばれて、
そのままシーツに転がされてしまう。
「そ、ソルさん…???皆さん…皆さんはご無事ですかっ!?」
「ああ、テメェのお陰でな…」
「良かったぁ………!」
私はそんな一言を発した後…余りの疲労感に意識が途絶えた。
◇◇◇◇◇
あの飛行GEARとの戦闘後、負傷者を大量に輩出するも、重症を負う団員は少なく、
かつ即怪我の対処が行われた為、甚大な被害を被る事が無かったと団長室にて部下から報告を受けた後、
団長室から続いている自身の寝床の方に脚を運び、ベッドで眠りこけている女に視線を向ける。
『私は人間では無いですが…人類の事が大好きです。この気持ちは本当です…!
ですから、皆さんの事も沢山知りたいですし、仲良くなりたいです!皆さんの事を…愛したい…!』
『ソルさんが護って来た世界を…私も一緒に護らせて欲しいんです…!』
「…演説で宣ったモンがコイツの本心かよ……とんでもねぇバケモンだな…」
「……ソル…しゃん………っ、」
「あ?何だ?エルフェルト、起きたのか…?」
「もう…、たべられましぇん…!」
「…おい何だよ!…寝言か。どんな夢見てるんだテメェは…。」
少し腹が立ち、態と鼻を摘み、皺を寄せた眉間に軽くデコピンを食らわせる。
やはり少し痛かったのか、眠りながらも顔を少ししかめ、顔を隠すように寝返りをうつエルフェルトの姿…
「コレでも起きねぇとは、やはり図太い女だぜ…テメェは。」
そう呟いた後、曝け出ていた柔い右頬に自身の唇を押し当てる。
法力通信で連絡が入ったのを確認し、
そのまま部屋を後にした。
◇◇◇◇◇
「ソルさん…おはようございます…?………わっ!?」
え!?えっと…???
私…あの後どうしたんでしたっけ…???
此処最近、ずっとこんな感じで、ソルさんの腕を枕にして目覚める事が幾度とあり、頭がちょっと混乱してきてしまう。
昨日借りたソルさんの聖騎士団の制服を着たまま、意識を失ってしまったのか、戦闘時に法力でまとっていた、
“あの人”からのウエディングドレスはとっくに解除されてて、ソルさんの制服の上着をあろうことか、
私は素肌のまま着用して寝入ってしまってた事に気付いた。
あああああああ!!!私…なんて事をおおおおお!!!!?と心の中で一人大絶叫を繰り広げる。
お、お洗濯…お洗濯しなきゃ…!!!でも一体どうしたらぁああ!?
未だに寝入ってるソルさんの隣で一人涙目で大混乱してる私の気配に気づいたのか、
「やっと目覚めたか。」と呟く上半身裸族のソルさんの色気の破壊力がヤバい。
「…そ、ソルさんっ!ごごごめんなさいっ!!!
この上着お借りしたまま寝ちゃって!?!?お洗濯ってどうすればいいんですか!?」
「良いから落ち着け。そんなもん此方で勝手にやっとく。
だからさっさと脱いで渡せばいいだろ。」
「あ、あの…!今はソレができなくてですね!?…後から必ずお返ししますのでっ!!!今はちょっとご勘弁を!!!」
「あ?…何だそりゃ…………、そういえば、テメェ…昨日の仰々しいドレスはどうした?」
「あ、いや…そのぉ…………」
私の態度に何かしらを感じたソルさんが、私の肩を掴んでベッドに推し倒し、
私のむき出しの太腿とむき出しのおしり(あの法力ドレス纏うと何故か下着も全て取れちゃう!!!)を見て、
成程そうゆう事かよ…と呟いた。
「ソルさんっ!?この体制やだぁ!!!勘弁して下さい!!!
せめてパンツだけでも履かせて下さいっ!!!…はずかしい…!!」
「あのドレス、法力解除したら完全な真っ裸なのか…たまげたぜ…」
「そ、そんな言い方…っ!私の意思じゃないのにィィ!!」
「それでさっきから、洗濯がどうこう言ってた訳か…」
「だって!私…パンツすらも履いて無いんですよ!?きっと上着汚れちゃってます!」
「ま、コイツはそのうち洗濯する事が決定したっつう訳だが…
エルフェルト、お前にそれがどうゆう意味だか解るか?」
「え?…」
「多少汚れが追加されようが構わねぇって事だ。」
ソルさんはそう言いながら、ひっくり返されて局部を曝け出してる私のおしりと女の子の入口に唇を付けて
態とらしくヂュっと吸い舌で舐め取り、そのまま舌を女のコの穴に割り込むように挿入してきて、
私は思わず腰砕けになってしまう。
「…そ、ソルさんっ!!!だっ、だめぇええ!!!も、もう朝なんですっ!!!皆さん起きてきちゃう…!!!」
「そうだ、分かってんじゃねぇか…だから早急にいくぞ。テメェも抵抗する暇があるならさっさとイク事に集中しやがれ!」
「そ、そんな事…わかりませんんんっ!!!もう充分気持ち良いですからぁ!!!」
「ったく」
ソルさんは私の入口を舐めながら、私が未だに羽織っているソルさんの上着のボタンを器用に外し、
全ての素肌が剥き出しにされた。
「きゃっ!?」
「裸にされる度に毎回そんなリアクション取るつもりかテメェは…」
「だ、だって…!?」
「まあいい…多少は興奮材料にはなりやがる…オラ!注意散漫になってんじゃねぇぞ!
今からテメェが弄られて最も好きな場所を存分に可愛がってやる…
覚悟は良いか?」
◇◇◇◇◇
私の入口か、溢れ出てる愛液を態とらしく吸ってる音が部屋にずっと鳴り響いて、その音の恥ずかしさで、
ガクガクと腰が戦慄いて、私はひたすら「気持ちいい…きもちいいよう…!」と言う事しか出来ない。
その吸われてる際に、ずっとしつこく、おっぱいを揉まれて乳首を摘まれて…、
なんでこんなにも感じてしまうのか判らない程に、ソルさんに触れられてる所が全て快感を感じてしまって、
頭がおかしくなりそう。
「そうだ…やれば出来るじゃねぇか。エルフェルト、これからテメェのエロ穴に俺のモンを突っ込む」
そう呟きながら私のエッチな穴にソルさんのゴツゴツした指が
何度も何度もつぷつぷと出入りしてる光景を目の当たりにして、私も焦れてたまらなくなる。
無意識に催促するように腰を突き出して避妊具をつけ終えた“もう一人のソルさんの尖端”を私の女の子の穴にキスをさせる。
もうぐずぐずに解された女の子の穴は、ソルさんのバキバキと反り上がったおちん○んを簡単に呑み込んでいっちゃう…!
「あ、あー、あ…っ、ソルしゃんの……しゅごいよぉ…♡」
「…ったく、その言葉…言ってて意味が解ってんのか…?」
気持ち良すぎて焦点が合わない私のぐずぐずの頬や唇を、その太くてゴツゴツした男らしい掌で撫で擦ってくれて、
私は思わずソルさんの指を唇に含んで、舌を絡めて夢中で吸っていれば、
「エルフェルト…良いぜ…そのまま夢中で飛んでろ…」
そう優しく声をかけられた。
「おく…おく…きちゃう…きちゃいますぅ…あっ、あーーー!!!
きもちいいの…きもちゃうのぉおおおお!!!」
「………っ、…!!!エルフェルト……射精(で)る………ッ!!!」
◇◇◇◇◇
「ああぁぁあ!!!やっぱりソルさんの制服!染みと皺だらけにぃいいい!?」
「ま、あんだけ激しく事をおっ始めたら、そりゃそうなるだろ。」
「な、なんでそう他人事なんですかっ!!!貴方の制服なんですよっ!!!」
「俺はそもそも、ソイツ(聖騎士団の制服)に思い入れなんぞねぇからな。だが…今だとテメェの汗と愛液で塗れ、
雌のなんとも言えねぇエロい匂いがしやがる…。暫く洗うのはやめておくか…寧ろ洗うなんぞ勿体無いまである…」
「絶 対 に や め て く だ さ い っ ! ! !」
「…ったく、冗談だ。」
「その言い方っ!冗談に聞こえませんっ!
そもそもっ!こ、こんな汚れたモノッ!?…とっ、取っといて何しようっていうんですかっ!?」
「あ?何しようだだと?、そりゃアレだ。自家発電ってヤツだろ。」
「自家発電…?って前にも…聞きましたけど…ちょっと意味が分からなくて」
「要は自慰行為ってヤツだ。」
「へっ!?…え゛!?」
「マスターベーション、オナニー、ま、色々言い方あるが…
性欲が溜まりゃ男女問わず行う行為だろ。テメェこそ、やった事無ぇのかよ。」
「そ、そんなの…ッ!?あ、あ、あるわけないじゃないですかっ!!!」
「あー、確かにお前は完全に処女だったな…テメェの周りはどれだけ過保護だったんだっつう話だ。」
「そうですね…そうだと思います…。皆さんとても優しかったですし…」
「それこそ、“未来の俺”がテメェに手を出さなかったのが不思議で仕方が無ぇ…」
「ええ!?そ、そっ!?…そんな事あるわけ無いじゃないですかっ!!!だって!!!」
「だっても糞もあるか。違う世界線の“未来だろうがなんだろうが、“俺自身”っつう事だろ。
そんなもん、テメェよりか己の事なんぞ解るに決まってるじゃねぇか」
「でも、そんな事…本当に一切無かったですよ!!始めて出逢った時は、言い争いばっかりしていましたし…。
私の存在が気に食わない感じで…常にずっと何かしら…言われて…
私がまだヴァレンタインとしての使命が解ってない頃、“ソルさん”には散々疑われました。
でも、私の行動や言葉で理解して下さって…
私が“お母さん”が世界を滅ぼす為に利用されそうになった時、ソルさんは率先して私を救いに来て下さいました…。
それ以降から、ずっとソルさんは私に対して優しくて…でも、それから踏み込めない壁みたいなモノを感じてしまい、
アリアさん…いいえ、ジャック・オーさんとのやり取りを拝見して、“ソルさん”のお相手は私じゃなかったんだなぁ…って…」
「…未来の俺が今の俺からどう変わったのかは知る由もないがな…
これだけは言える。俺はどうでもいい奴になんぞ優しくする程出来た人間じゃねぇ。
テメェが感じた優しさっつうモンがどんなもんかは判りゃしねぇがな…」
「でも…本当に当たり障りの無い優しさなんです…!だから、少しだけ距離を感じてしまって…
そんな中、砕けたやり取りをされてるジャック・オーさんとの会話を拝見してたら…
とても羨ましくなってしまって…。ソルさん…?どうかされました…?」
「いや……そりゃ…アレだ…、“未来の野郎”がテメェとの距離感掴み損ねただけなんじゃねぇのか…?」
「…距離感…ですか…?」
「いや…いい、そこは触れるな…。」
思わず眉間に皺を寄せ、未来の自身に悪態を付いた。“テメェ、ガッツリこいつを意識してんじゃねぇか!”と。
「ずっと当たり障りの無い会話ばっかりで…“今日何食べた”のかとか、“何をしたのか”とか…“楽しかった事”とか…
“好きな音楽”のお話とか…そんな事ばっかり聞かれたり聞き返したり…。本当にただそんな他愛もない感じでしたし…。」
「エルフェルト、テメェ…鈍いにも程があるだろ。
そんなもん、興味無い奴に聴く程、“未来の野郎”がお人好しに見えただと!?」
「え?でも…!!」
「奴がお前を選ばなかった理由なんぞ、今の俺には解りようが無いが、
テメェの世界線は今頃…お前が居なくなった事で、“野郎”は確実に荒れてるだろうよ。」
「え…それってどうゆう……………、!?」
もう黙れとばかりに目の前の女の唇に己の唇に押し当てる。
ざまぁねぇな…。そう心で語りながら。