DORAGON
DOES
HISUTMOST
TO HUNT
RABBITS
D
oragon
rabbits
&
R
「好き」は時に暴力的で。
※暴力表現があります。閲覧注意。
最近、とある一人の男の人に付きまとわれて、付き合ってよとか付き合おうよ!とか好きなんだよね。と散々言い寄られてる。
好意をもってくれるのはありがたい事だけど、一度きちんとお断りしてるのに、こうして事が毎日だと、
流石にちょっと流石の私でも、しんどくなっちゃって、
元々シンの友達だから、最近はシンが間に入って彼を止めてくれたりもしていた。
「ったく、邪魔すんなよ。…それともやっぱりお前、エルちゃんと付き合ってるのかよ?」
「そんなんじゃねーよ。でもめっちゃ嫌がってるだろ?」
「お前付きあってないんだろ?、そしたらほっとけよ。エルちゃんが言ってた好きな奴?
本人の口から何処のどいつって詳しく聞くまで、俺は諦めないからな。」
「好きな奴はホントに居るんだ。だが、事情があって言えねぇって位わからねえのかよ!」
「どうせ、断リ文句なんだろ?証拠が無いなら、フリーと見て押すだけだ。」
「どうせ無駄だと思うぜ?…お前、もうエルには嫌われてるからさ。」
「それも、本人から聞かないと信じないわ。シン、じゃあな。」
「エル…ごめん、あいつ聞く耳持たねぇ。」
「ううん…シン、寧ろありがとう。ごめんね、いつも私のせいで…。」
「あー!もういっそさ、エルはオヤジにさっさと告白しちまえばいいんじゃねぇか?」
「そ、それはだめっ!…だ、だだって…、まだ私は…子供だし…ソルさんには釣り合わな……。」
「歳なんて関係ないじゃん?歳でアウトなら、カイとかどーすんだよ。
アイツ、母さんが16んときに出逢って速告白して速結婚したって、オヤジが言ってたからさ。」
「カイさん夫婦の事言われても!!あの夫婦は特別だからっ!お互いにひと目見て運命感じたって言ってたもの!!!」
「エルはオヤジと運命感じねぇのかよ?」
「…とても感じてるよ……。でも、ソルさんの運命の相手は、アリアさんだもの。」
「それも、もう時効じゃね?それに、オヤジや母さんから聞いたアリアばーちゃんの話でさ、
亡くなる時に、ばーちゃんはオヤジに「独りにならないで」って言い残したらしいんだ。
そんな言葉死ぬ間際に言える人が、エルの事恨んだりしねぇと思う。
うーん…そうだな……寧ろ、めっちゃ感謝したくなるね!オヤジの事、よろしく頼むって。
オレもさー!なんだかんだオヤジの事心配なんだ。
エルが側に居てくれたらオヤジもある程度世間ってやつからあぶれる事少なくなるんじゃないかなってさ。」
「ソルさんは、十分世間に馴染んでると思うんだけど…?」
「違うって、なんつーか、人との繋がり?って奴?エルは人の事めっちゃ好きだろ?
オヤジは基本人の事興味無いからさ。オレや母さんが幾ら言ったってその辺りはめっちゃスルーされてさ。
でもエルはしつこいじゃん。オレや母さんがもう面倒くせぇってなる事しつこくオヤジと言い争ってんじゃん。」
「シン!それだと、わ、私がまるで諦めの悪い人ように聞こえちゃう!」
「え?実際そうなんじゃねぇのか?」
「ち、違うよ!!諦めたくないのは…ソルさんだからだよ。」
「それだよ。自分の身より、オヤジの事ばっかり考えちゃうんだろ?
だったら別に歳なんて関係ないじゃん。ラムは大人になってからって言ってるけど、オレはいつでも良いと思うぜ?
エルがしたいようにすればいいんだよ。」
「うん、ありがとう、シン。
シンこそ!ラムに気持ち伝えたの?」
「めっちゃ伝えてる!…でも、ラムはさ…“ありがとう、私もシンが好きだよ”ってふっつーに返してくんの!
あ、多分コレわかってなくね?ってなって、ラムがきちんと気付くまで待つ事にした!」
「あはは、ラムは、確かにまだ恋愛はよくわからないって言ってたから。」
「やっぱりかー!マジジェットヤベェ…!ま…ラムらしいけどな!
…またアイツがしつこかったらオレを呼んでくれよな!!じゃ、オレ行くわ!」
「うん、ありがとう!」
それから数日経過したあくる日、先生からの呼び出しと思って行った場所に、例のしつこい男の人が居て、
私は…扉を閉めて慌てて廊下を駆け出すも、速追い付かれて腕を掴まれてしまう。
「ったく…避ける事ないじゃん!あれからずっとエルちゃん君が一人になるとこ伺ってたのに、シンの奴がいたり、
君の姉がずっと側に居たりで物凄く邪魔だったんだよねー!」
「あなたとはもう話す事なんてありませんっ!!離して下さいっ!!!離さないと……!!!」
「ああ、知ってる、君結構強いって事。過去にこうして強行したら思い切り足技咬まされてぶん投げられた奴らの話聞いた事あるから。
でもね、生憎だけど、オレも格闘術幼い頃から習ってたの。
と言っても、シンの奴には叶わないんだけどね、でも、君一人ななんとかなっちゃう。」
「そんな事…っ!!やってみなくちゃわかりませんからっ!!!」
私は咄嗟に体を捻り、その回転の遠心力で利き足で空を切り目の前の人の頭目掛けて踵を落とすように蹴り落として行く。
大体の人なら、思い切り頭に踵を食らって、目眩を起こすんだけど、自分でそう言い切ったのは伊達じゃ無かった…。
私の蹴り技を腕の筋肉で力を分散させ、見事にガードをされてしまう、その止まった脚を掴まれて体制を崩される。
そして、私の首の後を何か思い切り叩かれる衝撃と共に、私は意識を失った。
◇◇◇◇◇
「シン!!」
「ラム?どうしたんだ?そんなに慌てて、」
「今日、心配だからエルと一緒に帰ろうと思いエルと約束したんだ。でも、待ち合わせの時間になってもエルが現れない…。」
「……他の奴らに、エルを、見かけたか聞いたか?」
「うん、誰も見てなくて、最後の講義はエルは現れなかったって…。」
「………そしたら、まだ学校ん中だな……。ラム手分けしてエルを探そうぜ。
オレは部活の奴らに顔効くから体育館周り探してみるわ。ラムは校舎頼む!」
「うん、分かった!エル見つけたら連絡して!私も連絡するから!」
「おう!」
◇◇◇◇◇
「…な、なんで…、私が気絶してる所から起こしたのっ……、私に何かしたいんなら…っ!」
「オレはあくまでもエルちゃん、君の合意が欲しいんだよ。オレが告白して、エルちゃんがそれに合意する。…それが重要だろ?」
「…わからない…わかりませんっ!!…私はっ、何度もお断りしました!あなたとは付き合えないってっ!!」
「“他に好きな人が居る”っつんだろ?でも、この言葉は、他に君に告白した奴らにも言ってるって専らの噂じゃん?
そんなの、只の断り文句にしか聞こえないよー!シンの奴とも付き合ってるって訳じゃないんでしょ?他に誰が居るの?
君のバイトの先輩?でも、それはあっちが一方的に君に好意寄せてるだけで、
君にはそんな素振り全く見えなかったからねー!…君がほんとに仲が良い異性は、従兄弟のシンと、君のお父上位なものかなー?」
「…、ど、どうして…っ……。」
「…君が好きなんだよ。君を愛してるんだ。愛してる人の事はなんでも知りなくなる。コレ人間の心理でしょ?
でも、少し気になる事があってさ?君は、相変わらずパパっ子で、そのパパもパパで君に対して過保護が過ぎると思うんだ。
君のバイト帰りに君に何度も声をかけようとしたけど、あのおっかないパパが居るから
俺は遠くで君を見てるだけしか出来なかったんだよね…。
君が俺と付き合う暁には、君からパパを引き離さないと。もういい加減、自立した方が君の為にもパパの為にもなるだろうし。」
私は…彼が語ってる言葉に、訳がわからなくなって、只々涙を流し続けた。
どうして…こんなに…通じないの?
そんな私の涙に、何もいきなりって話じゃないから、そんなに泣かないでと私の涙を拭い、
「“エルフェルト”…」
…そう呼ばれた。
私は一気に取り乱して泣き喚いて目の前の人の顔を、身体を散々暴れて殴ったりしてしまっていた。
「……っ、なにしやがっ!!!」
「嫌ですっ!!嫌ぁぁああっ!!その呼び方で呼ばないでっ!!!そう呼んで良いのはあなたじゃない!!
あなたなんかじゃないッ!!!
……ソルさんっ、ソルさんっ助けてっ!!!ソルさんっ!!!」
散々暴れる私の身体を床に押し倒し、
私がひたすら助けを呼び叫ぶ名前に、目の前の人は眉間を思い切り寄せ、
そいつは誰なんだと問い詰められる…。
私の好きな人…。私の愛してる人の名前。
あなたじゃない!と何度も叫ぶ。
だが、今君を手中に収めてるのはこの俺だ。そいつじゃない。
俺の愛を知れば…君もきっとわかってくれる…!
目が狂ったように血走った目の前の人は、私の洋服を引きちぎる様にはだけさせていく。
それだけは!!それだけはっ!!と泣き喚いて決死の思いで暴れて、
その度にお気に入りだったワンピースはどんどん破れていった。
散々抵抗して、何が何でも抵抗した。
咄嗟に首を締められる。
殺される、そう思った。
「お…俺の…モノニナラナイノナラ…っ……」
「………っ、…あなた…の…モノになる…くらいなら…死んだ方が…マシよ……っ。
……私を…殺し…て……、
……ソル…さん………、ご…めんな…さ………。」
私の意識はそこで途切れた。
「エルっ!!」
ラムの泣き腫らした顔。
シンの安堵の表情…。
そして、ソルさんの思い切り眉間に皺を寄せた苦痛の表情…。
私…わたし…生きてた…?
ソルさんの顔を見て何かが事切れたのか、目から涙がボロボロと溢れだす…。
ソルさんの後ろで控えていたカイさんが、私に、体調は大丈夫ですか?と確認をしてくる。
「……大丈夫なようですね。……、エルフェルトさん、あなたが犯人に殺されそうになりかけた所を
シンが見つけていなかったら今頃貴女は…。無事で…本当に良かった…。」
「エル…もっと早く見つけてあげらんねぇでごめん…。アイツの事もっと注意しとけば…、」
「…シン、ううん…助けてくれて…ありがとう…わ、私…、散々抵抗したけど……も、もう、だめかもって………。
…死ぬ覚悟したの……。でも…っ、こうして、みんなの、…顔見れて嬉し……っ。」
喋ってると涙が溢れてくる。
本当は死にたくなんか無かった…!!
私の胸ぐらを掴まれる。怒りに震えているソルさんの顔が物凄く近くなる。
「…………っ、エルフェルトっ!!!テメェ、殺されると理解して何故抵抗したっ!!
テメェらがガキん時から散々教え込んだだろうがっ!!
差し出すもん差し出しときゃ命までは盗られねぇ!事が住んだ後反撃したけりゃ反撃すりゃいい!!」
「ソルっ!やめろ!今の彼女にはそれは酷な話だっ!!!」
「カイ!テメェは黙ってろ!!エルフェルト、聞いてんのか!?なんで抵抗しやがった!!」
「……、あんな人に、私の一番最初を差し出したく無かった……。あんな人に差し出す位なら…っ、
私はっ!!死んだ方がマシよ!!!」
…ッパン!!!
私が泣き叫んで放った言葉の途中で、ソルさんから平手打ちをされた。
「ソルっ!!!?」
「…………っ、安心しろ、加減はしといた。
……テメェの聞き分けの無さに頭痛がしやがるぜ……。
テメェは本当に似てやがる……頑固で思い込んだら突っ走りやがる所まで如実にな…。
そのテメェの面で、“アイツ”みてぇな事ばっかりほざくんじゃねぇよ!!
良いか、“何が何でも生きろ”
俺にはテメェの貞操なんぞ知ったこっちゃねぇ!四の五の言ったらまた殴るから覚悟しやがれ。
寿命以外で俺より早く死んてみろ。あの世でテメェが安眠出来ねぇ様にテメェの墓前で暴れてやる。」
そう言って私の肩を強く掴み、引き寄せて片手だけで抱き締めてくれたソルさんのぬくもりに、私はなきじゃくりながら
「なんて暴論ですかっ…!!それが死ぬほど嫌だったってなんで理解してくれないんですかぁあああ!!!」
そう訴えても、減るもんじゃねえだろうが!嫌だったら上書き保存すりゃあいいとか言ってくる。
ソルさんはそこらへんは相変わらずだ。
「減るんですうううっ!!!乙女は繊細なんですよおおおっ!!!!」
私は流石にブチ切れて、ソルさんの身体をボカボカ殴っても、どこ吹く風で。
「…ったく、面倒臭ぇな。…そんなに“初物”が大事なら、
さっさと己が気に入った奴見繕ってさっさと事を致しちまえばいいじゃねぇか。」
ソルさんの放った言葉に、事情を知ってるシンとラムは目を見開いて驚いていて、何も知らないカイさんは、
「女性に対して何を言ってるんだお前は!?」
とソルさんにセクハラやらなんやらとお説教をし始めている。
当のソルさんは、固まるシンとラムに若干の違和感を感じながら、カイさんの言葉に眉間を寄せて嫌そうな顔をしつつ、
思いっきり固まり、真っ赤っ赤になってる私の顔を見て、
ソルさんは、どんだけ耐性無いんだテメェは…。と呆れかえっている。
「……、っ……ソルさんの……馬鹿あァァァァあああああ!!!」
私は思わずその場で思い切り叫んでしまっていた。
◇◇◇◇◇
「カイ、今回はサンキュ…助かったぜ…。」
「…たまたま此方に仕事で、テキサス州の本部に居たのが功を奏しましたね…。
おかけでテキサス州の警察本部にFBIが何しに来たんだって総スカンでしたよ。…でも、本当に良かった…。」
「最近のテメェは専らFBIにおける不良特務捜査官って噂が立ってるらしいからな。」
「…っ、煩いな…。しかし、何故もこう、エルフェルトさん、彼女ばかりに…その…。」
「アイツはガキの頃からずっとだ。ラムレザルに関しても変な輩に狙われるが、エルフェルト程じゃあねぇな。
ラムレザルとエルフェルトには、俺が防衛術を叩き込んである。それを見切ってテゴメ寸前までいきやがるたぁ、…頭痛がしやがるぜ。 」
「オヤジ…ごめん。オレ、アイツを予めノシておけばよかったぜッ…。
アイツも格闘技習っててさ、めっちゃ色んな話してたんだ…。オヤジ教えてくれたじゃんか、
格闘技習うって事は、自分の身体が武器になる。格闘技習ってねぇヤツにはけして自分のこぶしを振ってはならねぇって!
アイツもわかってると思いこんでたんだ…。でも、アイツは…っ。」
「…中には、力で相手を屈服させて言いなりにさせねぇと気が済まねぇ輩も居るってこった。
…たらればの話しなんぞクソ喰らえだがな…。シン、悔しいなら強くなるしかねぇ。」
「……おう!」
「…彼には色んな容疑がかけられている。殺人未遂、強姦未遂……、
シン、お前の証言、エルフェルトさんからの証言でほぼ真っ黒と見て良い。
なに…、それ相当な裁きを正式に受けて貰うさ。」
「…シン、見やがれ。これが汚え大人のやり口ってヤツだぜ。世の中法の元にゃ、 純粋な力なんぞ可愛いモンだってな。 」
「…だな…!こんなにカイがおっかねえって、初めて知ったぜ…。」
目を丸くして関心している孫と、その言葉に遺憾を示すもはや長年の友であり義理の息子でもあるカイとのやり取りに、
つい鼻で笑っちまう。
自身が憤っていた感情が少しだけ解け、無意識に握り締めていた掌も自然に解けていた。