DORAGON
DOES
HISUTMOST
TO HUNT
RABBITS
D
oragon
rabbits
&
R
身から出た錆は、魅惑の味だった。
R-18
テキサス州ヒューストン、
かつては宇宙進出の為の先駆けの街として賑わい、
現在もアメリカにおける科学の最先端技術を開発し続ける科学者達が大勢集まる街。
都心とはちょっと離れている閑静な住宅街。
アメリカではよくある広い庭付き一戸建てプール付き。
入口前でバイクを止めたソルさんは、バイクをしまうから、先に家に入ってろと私に事付けて、
バイクにまたがりガレージに走っていった。
ソルさんがよく出入りしてるガレージは、自身の趣味であるカスタムバイクのメンテナンスの場所で、
私達が出入りするもんなら、カミナリが落ちたものだった。
幼い時は、秘密基地みたいでとても入ってみたかったけど、そのうちそんな気持ちも何処かに消え失せて、
身体だけ大人になってしまった今は、自分の恋に溺れてしまいそうで、自宅の扉を開ける手がおぼつかない。
あ、あれえ?…く、暗くてよく見えないからなのかな?、いつもならすんなりいくのに…。
玄関の前であーでもないこーでもないとしてたら、ガレージでの用事が済んだソルさんが、
何やってやがると、溜息をついた。
「…自分でもわからなくて!なんか手元がおぼつかな……っ、」
私の手にソルさんの手が重なる。
私の指先ごとソルさんは家の鍵を掴み、鍵穴にすんなり入れ、解錠させていく。
「…いいから落ち着け。……ま、そんだけ意識されてりゃ、気分は悪くねぇがな。」
「っ!…からかわないでください!!…さあ行きますよっ!!」
はんばヤケクソで私は自宅に上がり込む。
このまま急いで自分のお部屋に…って思っていたら、後ろから抱き締められ、顎を掴まれ、唇を奪われる。
昨日、一度されたあの深いキス…。
ソルさんの舌が容赦なく私の口内を弄って、なんだかわからないけど、
何処か一定の場所を舌で撫でられたりしたら、身体が勝手にビクビク反応してしまう。
首元がゾクゾクして、頭がぼーっとしてきて、何だかわからなくて…。
気がついたら上着が脱がされて、シャツの上から、私の胸を揉まれたり弄られたりしてて、
恥ずかしさと初めて体感してる快感に振り回されて、目から涙が溢れてきてしまう。
「…ちょっ、!!…ま、待ってくださ…っ!!」
じゅ、準備っ!?準備っ!!と必死に訴えても、一瞬、こちらに視線を向けたかと思えば、何喰わぬ顔で、私の舌を吸いながら、
いつのまにかシャツをたくし上げて、背中を撫で回されて、思わず変な声が出て余計に恥ずかしくなった。
「せ、せめてシャワー!!シャワーだけでもっ!!!」
唇が離される瞬間に、必死に何度も訴える事数分。
「な、何でそんなに強引なんですかぁ……ッ!私の話聞いて下さいっ!!」
もはや泣きながら訴えてる状態になって、着ていたシャツは器用にボタンが外されてて、背中についていたブラのホックも外されて、
ブラのひもが肩にかかってプラプラしてるのを感じ取っていた。
「…ッ…、その顔は反則だろうが…。」
「反則って!…寧ろソルさんの方がフライングじゃないですかあっ!!前にも言ったじゃないですかっ!乙女の初めては繊細なんですっ!
…す、好きな人の前では、少しでも、き…綺麗でいたいんですよ…。だから……、」
今は手を、離して欲しいんです。と訴えれば、
少しだけバツの悪そうな顔を浮かべて、私をそっと離してくれた。
「ソルさん、ありがとう。」
急ぎますから待っててくださいねと、廊下に押し倒されてた身体を起こす。
立ち上がり自室に足を運ぼうとすれば、肩を掴まれて、耳元で声をかけられる。
その声掛けに、私は只ひたすら顔を赤らめながら慌てて二階の自室にかけていった。
バタン。
自分の部屋の扉を閉じたあと、扉に背もたれた後、ズルズルと力が抜けて、しゃがみこんでしまう。
うわああああああ!!!
だめ!!声が…声が、耳に残っちゃう!!
って、こんな所で腰抜けてる場合じゃない!!早く…早くしなきゃ…!!
私は慌ててシャワーを浴びる準備をしはじめた。
バスローブとお気に入りの下着を持って、バスルームに駆けていく。
駆け込む際、通ったリビングはもぬけの殻で、ソルさんは自室なのかな?と思い至る。
あ、それとも…!
予感がして手にかけようとしたバスルームの扉は閉められていて、中から水かながれる音してるから、つまり、そうゆうことで…。
とりあえず、ソルさんはシャワー早いから、リビングで待ってよう。そう思い至り、ソファの方に足を運んだ。
あ、此処…って…昨日、ソルさんと…
そんな事をふと思い出し、首をブンブンと思いっきり降ってしまう。
後ろから、「おい…首がもげちまうぞ。」って声がして、振り向いたら、シャワーから上がったらしきソルさんが、
開いたぞ。と親指をバスルームに向けている姿。
「は、はいっ!?あ、ありがとうございますっ!!」
案の定、腰にバスタオル一枚の姿で、いつもこうなのに、今日は特にソルさんを直視できなくて、目線をそらしながら、
ソルさんの横を通り過ぎれば、私の髪をそっと触れながら、
「待ちくたびれるまで待たせんじゃねぇぞ。」
そんな事を言われ、私は顔が真っ赤になりながら、慌ててバスルームに駆け込んだ。
◇◇◇◇◇
え、えっと……バスローブの下、下着つけちゃって…いいんだよね??
誰かに聞きたかったけれど、今は誰もいないし、とりあえず持ってきたから身につけてからバスローブを上に羽織って腰紐を縛る。
私は意を決してアメニティエリアの扉を開け放つ。
誰も居ないリビングを通り、一階にあるソルさんの書斎件寝室の扉のノブに手をかけた。
◇◇◇◇◇
「し、失礼します……。」
緊張でガッチガチで、まるでバイトの面接の前のような……、ううん、コレは、バイトの面接の方がまだマシなような……。
ソルさんの部屋は広くて、家を建てたときはディズィーさんと二人だったから、こんな間取りにしたって言っていたっけ…。
つい、いつもよりやたら扉を丁寧に閉めてしまう。
もう一度前を向けば、バスタオル姿のまま書斎の椅子に座り煙草を吹かしていたソルさんが、私を見るや否や、
吸っていた煙草の火を消して、椅子から立ち上がり、私に近付いてくる。
「あ、あああのっ!?」
急に近寄られて尻込みしてしまう私の身体を軽く抱き上げて、私をベッドに放り投げ、そのまま覆いかぶさってくる。
声なき声掛けで頭がパニックになりかけた私の前髪を払い、おでこにキスをしてくれる。
幼い時に私が何度もせがんでやっとしてくれた事を思い出して、少しだけ強張っていた身体の力が抜けた。
力が抜けたのを見計らって、私のバスローブをはだけさせられ、私の下着姿を見れば、若干眉をひそめられた。
「…なんで下着着けたんだ…。」
「え、え?…つ、着けないものなんですかっ!?」
何の為のタオル生地だと思ってやがる。そう溜息をつきつつ、私の背中のブラのホックを外しながら、
私の唇に軽く触れてくるソルさんの姿。
「……っ、そ、ソルさんは…し、下着はお嫌いですか……?」
「…下着は下着でしかないだろうが…。中身を欲してるヤツに、その質問はナンセンスだぜ…。」
私の胸を優しく揉んでくれる。その際も、軽く舐めるように互いの唇はついたり離れたりを繰り返していた。
「…そ、そうゆう…もの…なんですか……?……っ、…ん…あ……。ソルさん……。キス気持ちいい…。ん…あ…んん…っ。」
無意識に口を開け、舌をつき出すようをすれば、ソルさんの唇がそれに触れ、舌を出して、
より深く絡めるように口内に入れられ、唇を重ねてくれる。
一緒に、胸の先端も弄られ、変な声がドンドン出てきちゃう…!
は、恥ずかしい…っ!
唇を離される。深いキスをした証拠が互いの唇から銀の糸として視界に収まる。その時も、胸を揉まれたり、先端を舐められたり…
胸ばかりじゃなくて、あらゆる体の隅々に弄られて、普段ならこちょばしく感じる脇腹とか、首筋とか、
触られたり舐められたりされたら、ゾクゾクして気持ち良くて、
ソルさんの手つきに翻弄されて、だんだんなんだか判らなくなってきてしまう。
ソルさんの顔を涙目で見つめれば、容赦なく、私の唇にソルさんの唇が重なった。
舌って…こ、こんなに気持ちいいのっ!?舌を吸われ、絡まれ、甘噛されたり、歯茎の裏とか舐められたりしてたら、
自分からももっと、もっとってソルさんの口内に舌を突き出しちゃったりしてしまう。
そうしていたら急に唇を離されて、
「…随分積極的だな?、そんなにしたかったのかよ。」
と笑みを浮かべられて言われれてしまう。
「そ、それは…!
で、でも…ソルさんと…し、したかったのはありますよ…。
だってっ!私っ、私っ!あなたの事っ、昔からずっとずっと好きでっ、今でも凄く好きなんですもんっ!
…でも、お願いですっ…言葉に出して言わないでください…。…まるで自分がはしたないみたいで、恥ずかしい…。」
顔がひたすら熱くて…、私今きっと顔が真っ赤だって悟ってしまう。
そしたら何故か、ソルさんにギュッと強く抱き締められた。
「………っ、エルフェルト…、お前…、こんな…とんでもねぇのかよ……ッ…。」
「…ソルさん…?」
「お前の身体を考慮を考えて、なるべく身体を慣らしまくってからって考えてたんだが……っ、
…さっさと俺のモンをお前の奥に挿入(い)れてしまいてぇ………!!
ッ…すこし待ってろ。時期に収まる……。」
ソルさんの言葉に、凄く求められてる事を感じて、とても嬉しくて、私からもソルさんにギュッと強く抱き付いた。
「ソルさん…、私なら、大丈夫ですよ…?あなたから与えられる痛みなら寧ろ喜んで引き受けます。
寧ろ…いつもそうやって私の事大切にしてくれてて、それでソルさんが色々耐えたり、我慢してきてくれてた事、私…知ってます。
だから…これから、私の前では我慢しないで下さい…。
…私を、あなたの好きにして下さい…。ね…?
もう、私はあなたのモノですから…。」
そう笑顔で呟けば、抱き締められていた腕がより一層強くなる。
「エルフェルトッ、テメェ……言ってる意味わかってんのかっ!?安易に男を焚き付けてるとろくな事になら……ッ!?」
私を想ってのソルさんの説教は、私からの口づけで、封印させていく。
…ごめんなさい。あなたの言葉を聞きたく無いわけじゃないの。
でも、こういう時くらいはあなたに我慢してほしくない…。
「……ヤダなぁ…ソルさん…?私だって…それくらいはわかりますよ?…わざと…って言ったら…私の事…嫌いになっちゃいますか…?」
そう呟きながらわざとらしく上目遣いでソルさんを見つめれば、急に激しく唇を奪われる。
本当は気持ちなんて、一杯いっぱいだけど、翻弄されてちょっと怖いけど、
あなたの、知らない表情を知れて、とても嬉しくて、
心も体もズブズブに溶けていく…。
◇◇◇◇◇
「……っ、あっ、ん…ッン!」
「あんま力むな…却って辛くなるぞ…。深呼吸をやめるんじゃねぇ…。」
「は、ハイ…、はー……はー……っ!?んんーっ!?」
引きちぎられるような痛さで涙が出てくる。でも、自分の最奥は未だにキュンキュンしていて、その感覚によくわからなくなっている。
先程散々、快感に飲まれておかしくなりそうだったから、却ってこの痛さが現実を鮮明にして、ソルさんを冷静に見る事ができた。
ソルさんも辛いのかな…?小刻みに息を繰り返してる。
汗が凄くて、痛さで目を瞑っていても、肌の重なりで理解してしまう。
「……全部とは言わねぇが、大体は入りきったぞ。」
「…ぜ、全部は、入らないモノなんですか…?」
「もうテメェの最奥に到達しちまってるみたいだしな。」
その言葉を聞いた私は、思わずソルさんに抱き付いた。
「あ、ありがとうございます…。とても嬉しいっ…。」
さっきまで胸がいっぱいいっぱいだった。でも、今私はソルさんと一つになってる…。
「……おいおい、まだ完結には早いだろうが。」
「さ、流石の私だって!そ、それくらいは知ってますよっ!!ソルさん、さっきから、汗が凄くて、…辛そうですし…。」
「…どうだかな。…あと、テメェのそれは態とか…?」
「?…なんのことですか?」
「奥が小刻みに締まってやがる…、自分で気が付いてねぇのかよ…。」
「……?…少しだけ…キュンキュンする感じはありますが…、それが何かあるんですか?」
「…テメェ…マジかよ…!…それをさっさと言え!」
ソルさんはそう声を荒げた後に、私の胸をもみしだいていく。
先程からピンと立ってしまっている(恥ずかしい…!)胸の先端の頂きを指先で嬲ったり、
もう片方の先端を口で吸ったり舌で突かれたり…。
されればされるほど、膣奥がキュンキュンしだして止まらなくなって、
私はそれダメですっ!おかしくなっちゃ…!頭おかしくなっちゃう!と必死にソルさんに訴えた。
「…そのまま抵抗するなっ…!感じてろっ!……っ、凄え濡れて来やがったな…。
エルフェルト、中動かすぞっ!耐えられねぇんなら、俺の肩に噛みつけ!!」
「…っふぁ、はぁいっ!!ソルさんっ!だ、大丈夫です…き、きてくださ…っ、!!
全部…う、うけとめま…っすぅ…っ! ………、っんっ、あっ、……あっ…あ…!!!?」
◇◇◇◇◇
………隣で吐息を立てて寝静まってる奴を起こさぬように、書斎に置かれた煙草の箱を手に取った。
右手でジッポの火を灯し、左手で煙草を口元も持っていく。もはや慣れたその行動は、
自身の、思考のスイッチを容易に切り替えていく。
流石に処女相手に飛ばし過ぎだろうが…。
だが、まさか中でイカせ過ぎて気絶するとか、予測できる筈もねぇだろ。
覚えてるだけでデカいのが三回か…。
相性が良過ぎだったのか、単にこいつが俺を想ってるのが功を奏したのか…。両方って線もあるだろうが…、
流石に相当出し尽くし、満足したからか、今の自身の思考は割とおとなしくなっていた。
だが、こいつは…面倒臭ぇな…。
ギア細胞は、破壊衝動を主に掻き乱してくる。
破壊衝動なんぞ、反社会的過ぎて合法的な方法でしか解決できねぇ。
だが、性欲である程度誤魔化しが効く事が分かった頃なんぞ、丁度、子供のおもりでそんなどころじゃねぇのに、
衝動にかられて、葛藤していたのを思い出した。
そのうち鋼の精神力を身に着け、欲は感じつつも(消えはしない。)コントロールが上手くできる様になってから
早十年以上は経過してやがる…。
エルフェルトが無理矢理こじ開けやがったもんは、俺の長年積りに積もった欲求不満っつう得体のしれねぇバケモンだろ。
現に、自制なんぞ全く効きやしねぇ。
こんなムラムラするモンが毎日近くに居てみろ。サルのようにやっちまうじゃねぇか……っ。
そんな事を脳裏にかすめただけで、身体が勝手に疼きやがる。
『んあぁああぁッ!!…きもちいいっ…きもちいいよおっ…ソルさ…っ、ソルしゃ…ん…!!すきぃ…しゅきぃなんれすぅ…ッ』
『やらぁっ!!?これいじょうはおかしくなっちゃ…わたしっおかしくなっちゃ…っ!!!?
おくうっ!おくがきもちい…っ…。あああっ!らめっ、らめぇなのぉ…なっ、なんかきちゃいますうぅッ…あぁああーーー』
声が耳に残る…。
想像以上に破壊力がハンパねぇ…。
最終的にもはや何言ってんのかわかんねぇ程乱れまくって、ろれつの回らん舌っ足らずな声で荒がれてみろ。
そりゃ思わず、腰がドンドン激しく成らざるえねぇじゃねぇかっ!!
………………。
誰に対して突っ込んでんだ……。
…っ、…とりあえず他のモン考えとくか。
………。
『だって!私っ、私っ!あなたの事っ、昔からずっとずっと好きでっ、今でも凄く好きなんですもんっ!
でも、お願いですっ…言葉に出して言わないでください…。…まるで自分がはしたないみたいで、恥ずかしい…。』
『…私を、あなたの好きにして下さい…。ね…?
私はもう、あなたのモノですから…。』
…………っだあっ!?
先程、エルフェルトが言い放った言葉をふと思い出し、思わず声を荒げてしまう。
……おいおいッ…、50超えたジジイが、なに齢17の小娘に翻弄されてんだ…っ。
隣をふと見れば、何も知らずにすやすやと寝こけるエルフェルトの表情は、まさしく、大人と子供を彷徨う妙齢の域で、
時に物凄く子供じみた無垢さと、時に大人の女の狡猾さを垣間見て、思わず眉間に皺を寄せ、溜息をついてしまう。
コイツの事だ、二十歳近くなれば、今の否じゃねぇ、まるで夜の蛍光灯に群がる虫の様に男を引き寄せまくるだろ…。
かつての自分の恋人がそうであったように。
………。
……エルフェルト、コイツには、さっさと指輪でも与えとくか…。
指輪か…。
皮肉にもかつて、過去の自分が、結婚はまだ早いと相当反対していた、自分の娘と添い遂げた自身の元同僚であり、
なんだかんだ腐れ縁にて、今では無二の親友とまで呼べる様になった義理の息子の言葉をふと思い出す…。
『“今”まさしく私は彼女を見つけたんだ、彼女も私を選んでくれた。父親であるお前には判らないだろうが、
彼女はまるで…何も無い野原に咲く一輪の可憐な野薔薇だ。その魅惑の蜜を求めて、沢山の蝶がその内彼女を求めるだろう…。
その中のしがない蝶でしかない私は、偶然最初にディズィー、彼女に巡り会い、彼女も私を受け入れてくれた…。
彼女が大人になれば、誰もが足を止めて愛でる程の大輪の薔薇になる。その前に、自分の懐に収めてしまいたいと思うのは…、
ソル、お前は私を罪深いと思うか…?』
…まさか、あの坊やに気付かされちまうとはな。
そりゃ、まさしく欲望だ。手元に置いておきたい願望ってヤツだ。
今更思えば、何故か、エルフェルトだけやたら行動が気にかかっていた事を思い出す。
自身の娘も、その息子である孫も、かつての恋人の形見であるラムレザルも、必要最低限の面倒は見ていたが、
行動に何か口出しした事なんぞ殆ど無かった。
娘やラムレザルに関しては、放任していても何とかなるだろう的な物はあったかもしれねぇ。
孫に関しては、初めは相当手がかかった。だが、同じ同性だ。割と語らずとも通じる部分が多かった。
だか、エルフェルトは、専ら頭痛の種だ。
しかもコイツは幼い頃は無頓着で人好きで疑うっていう概念が全く無ぇ。(今は流石にあるだろ)
ガキん時は知らない奴に何度騙されついて行こうとしたり、幾度となく連れ去られそうになった事か。
だからなのか、相当厳しくしていた自覚がある。その内嫌われるんじゃねぇのかと思っていた時期もあったが…。
蓋を開ければ、なんて事はねぇ…。
何度説教し、言い争いに発展しようが、次の日には笑顔で俺に話しかけてきやがるコイツに、
只鈍いだけかと思いこんでいたが…。
今思えば、全部、繫がりやがった。
ラムレザルよりか、よりアリアの面影と、性格を要したコイツに、想い入れが無かったかと聞かれれば、
今の自分は、在ったんだろうとハッキリ言いきれる。
「それに気付かされちまったのが、“娘”であるコイツを性的な目で見てからか…。
しかも抱いちまった後、“それ”がより鮮明になっちまったっつうのがな…。」
エルフェルト、コイツには、散々男の欲望がいかに面倒臭く、女を脅威に貶めるかっつう事を叩き込んできた。
だが、まさか…そう叩き込んだ己が、コイツと致しちまう事になるとはな…。
「洒落にならねぇだろうが…。」
幾ら同意の元であろうが、年齢が年齢だ。俺がまだ許されるのは、見た目が50代に見えねぇって事だけだからな。
いや、寧ろ、このギア細胞のせいで性的な欲求不満に常に苛まれ、エルフェルトからの誘惑に、
容易に乗っちまったっつうのもあるだろ…。これが、普通の50代なら、小娘の戯言として諭す事も出来た筈だ。
だがもう俺は、一度自分の懐に収めたモンを、手放すつもりなんぞありゃしねぇ。
一度味わった魅惑の味を、忘れろなんぞ無理な話だ。
「エルフェルト、…こうなったら、お前にはとことん付き合って貰うぜ、…覚悟しやがれ。」
幸せそうにすやすやと眠るエルフェルトの、柔らかい頬や、唇を自身の無骨な指で撫で擦っていく。
カーテンの隙間から、朝日の木漏れ日が漏れ、ベッドを照らしはじめていた…。